2006年7月 3日 (月)

新しいアンチエイジング医学の療法―キレーション

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【アンチエイジング医学の展望】

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キレーション治療:キレート結合により金属を体外へ排泄させる治療法。

キレート剤:

鉛中毒のethylene diamine tetra acetic acid (EDTA)

水銀やヒ素中毒の対するdimercaptosuccinic acid (DMSA)

dimercaptopropionylsulfonate (DMPS)

銅に対するPenicillamine

鉄を除去するDeferokisaminn mesilate

動脈硬化治療効果や有害金属除去によるさまざまな変性疾患の予防と治療効果が期待できる。

<歴史>

EDTAキレーション治療は、1940年代から重金属、なかでも鉛中毒患者の治療薬として使用されていた。

     鉛中毒患者の治療を行うと動脈硬化による症状が改善することが報告。

     1950年代以降、心臓疾患を中心とした動脈硬化性疾患に対する非侵襲的治療方法として米国を中心に使用されている。

     心臓や血管の病変治療効果だけでなく、黄斑変性症など一部の眼科疾患に対しても有効な治療方法であることが報告されている。

<内容と作用>

     EDTAキレーション治療:Na2EDTAをビタミン、ミネラルとともに点滴

     投与方法は、American Academy of Advancement in Medicine (ACAM)が提供。

     Na2EDTA3g500mlの溶液として3時間かけて投与するものと、半量の1.5g1時間30分で点滴するものがある。

     これらを週に1から3回のペースで20から30回繰り返し行う。

     作用メカニズム:EDTAのもつ強い抗酸化力である。

     食品の酸化防止剤としてEDTAがひろく使用されている。点滴投与することで、体内の活性酸素による酸化ストレスを抑制することが動脈硬化治療の主たる作用

     血中の遊離カルシウムの排泄を促すことで、体内カルシウムの分布に変化を与えることが指摘されている。

     加齢とともに骨に含まれるカルシウム濃度が低下する一方、動脈壁や関節軟骨などにカルシウムの異常沈着が生じる。EDTAは遊離カルシウムの濃度を下げることで、骨以外へのカルシウム沈着を抑制し、骨自身へのカルシウム沈着を促進すると考えられる。

<治療効果>

●動脈硬化性疾患

     冠状動脈移植術が必要といわれていた65名の患者にキレーション治療を行ったところ58名の患者で手術が不要になった。

     閉塞性動脈硬化症では、下肢切断手術予定患者27名にキレーション治療を行い、24名に下肢の血流改善がみられ、手術が不要になった。

     20回以上のキレーション治療を受けた26名の患者の脈波伝播速度(pulse wave velocity; PWV)は数値が低下する傾向にある。→ キレーション治療が動脈硬化に対して有効な治療であることを示唆している。

●重金属障害

     環境汚染が原因の重金属障害。

     体内に鉛の蓄積が見られる患者でかつ腎機能不全を伴っている場合、EDTAキレーション治療を行うことで、腎機能の悪化を防ぐことが可能とされている。

     EDTAにより鉛を体外への排泄を促進したことで、活性酸素を減少させ、尿細管壊死を防ぐことができるためと推測。

     鉛よりも3価鉄の体外排泄の促進が腎機能障害の進行を抑制したともいわれている。

     キレーション治療により毛髪中有害金属の含有量は顕著に減少する。

     キレーション治療が老人性痴呆の予防効果があるとされる理由は、アルミニウムなどの重金属による弊害を減らすことができるためと考えられる。

<副作用>

     EDTA投与による致命的、ないしは重篤な副作用の報告は、ACAMの基準ができてからは報告されていない。

     まれに、発疹、虚脱感、を訴える例もあるが、一時的である。

     若年者では、点滴部位の血管痛を訴えることもある。

     キレーション治療には、血糖効果作用もあるので、インスリンなどの低血糖を引き起こす薬剤との併用には注意が必要。

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