2006年7月 3日 (月)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/アンチエイジングのための環境対策】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/アンチエイジングのための環境対策】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P209211  住まいのアンチエイジング〕

<身近な住まいにあふれる化学物質>

住まいは、90%以上が、均質的な人工素材(合成素材、コンクリート、鉄、ガラス)からなる。

人を病気にする住まい(シックハウス症候群)

大量の工業製品:建材、接着剤、家具、設備機器など

有害物質:ホルムアルデヒド、鼻咽粘膜への刺激あり

電気製品:電磁場の負荷。

防虫剤:パラジクロロベンゼン

木材防腐剤:クロルピリホス

合成塗料に含まれる有機溶剤:トルエン、キシレン

においのきつい天然の素材:木材、自然塗料、ラテックス:天然ゴム

シックハウス症候群:身体全体の負荷

化学的:鉛、カドミウム、アルミ、水銀、フェノール、殺虫剤、殺真菌薬、食品添加剤

物理学的:電磁場

心身ストレス

生物的:カビ、花粉、塵

→ 負荷軽減は次の方法で:

住まいの調整、改修、食事の改善、洋服の見直し、ストレスの回避

<「元気に暮らせる」のが基本>

バウビオロギー(Baubiologie, 建築生物学):住環境と人間との全体的諸関係についての学問

身体(第一の皮膚)、衣服(第二の皮膚)、住まい(第三の皮膚)

快適な湿度帯:40-60%、カビ、ダニの発生を抑える。

P212213  オフィスのアンチエイジング〕

「人間感覚計測応用技術」プロジェクト

・オフィスでの、visual display terminal (VDT)作業を対象に、温熱条件、証明条件、作業時間の複合条件が、作業適合性および疲労感に与える影響について評価。

27種類の環境条件に対し、20歳代の女性16名の被験者実験を行った。

     オフィスワーカーの不満率を10%以内に抑えるために、predicted mean vote (PMV: 温冷感予測平均申告、ISO規格)を±0.2の範囲に抑え、照度を750ルクス以上にする必要がある。

     不満率を30%以内にするには、PMVは±0.5、照度500ルクス以上の範囲。

     PMV:温熱快適感を評価する指標。

温熱環境の6要素(気温、湿度、気流、放射温度、着衣量、代謝量)から求める。

PMV=0では、95%の人が快適と感じる。

-0.5 < PMV < +0.5の範囲では、90%の人が快適と感じる。

     気温以外の条件が同じとき、PMVを±0.2の範囲に抑えるには、気温のばらつきを約1℃以内に抑える必要があり、PMVを±0.5の範囲にするには気温のばらつきを約3℃以内に抑えればよいことになる。

     オフィスでの照明:机上面で均一な照度[500-750ルクスになるように設計]

     手元の局所照明と周辺照明の明るさに差をつけるほうが、脳波のラムダ反応の評価から集中度が高まる。実際には、デスク上の証明が、1000ルクスと明るく、周囲が100ルクス程度のときに最も高い集中度が得られている。

オフィスサーカディアン照明:光が生体リズムに与える影響を考慮した照明の重要性。

調光スケジューリングにより生体リズムを調整し、無理のないオフィス環境創出技術として期待される。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/リラクセーションとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/リラクセーションとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P205206  ストレスの理解〕

ストレスにいかに対処し、どのようにストレス解消していくかが健康な生活を送るための必要条件といえる。

<ストレスとは(ハンス・セリエ)

生体の中に起こる生理的・心理的な歪みであり、このストレスを作るものが外から加えられたストレッサーである。

ストレッサー:

物理的なもの(暑さ、寒さ、騒音など)

              化学的なもの(大気汚染、アルコールの飲みすぎ、タバコの吸い過ぎ)

              生物学的なもの(細菌、カビ、ウィルス)

              心理社会的なもの(心理的な悩み、葛藤、人間関係など)

適度な刺激は、交感神経を賦活し、抵抗力をつけるように働き、ハンス・セリエ自身も[ストレスは、人生のスパイスである]と延べ、ポジティブな面もある。快ストレス(eustress)

不快ストレス(distress):過剰なストレス、慢性的に長く続くストレス。

              外部からの要求と個人の対処能力のバランスにより異なり、個人差が多い。

<ストレス反応の現れ方>

ストレスの影響:

・不快な心理的変化(不安、緊張、過敏、抑うつ、焦燥、混乱などの情緒的反応)

              ・引き続く身体反応(疲労、倦怠、頭痛、動機、息苦しさ、などの自律神経症状)

・それらを解消するための行動反応(せかせか行動する、タバコをすう、アルコールをのんで気分をまぎらわす)として、表れる。

→ 個人の体質、性格、ストレスの認知の仕方の差によって一定の傾向。

           心理的に表れやすい人、行動に現れやすい人、身体的に現れやすい人。

一連のストレス反応:本来環境変化に適応するためのある種の生体防御反応であるが、過剰なストレスや長期間続く慢性的なストレスで心身が疲はいしてしまうとさまざまな障害として表れる。

<ストレスとライフスタイル>

ストレスによる不快な情動を解消するために

              リラックスして情動を静める、より快感を追及する。

手軽な方法:酒を飲む、食事をする、娯楽をする、でも有用であるが、多くは一時的な効果しかなく、悪い習慣となって、ライフスタイルの偏りの原因となる。

           より健康的なストレス解消法を身につけることが生活習慣病を予防する上で重要なポイントになる。

P207209  リラクセーションの実際〕

自律訓練法:

イライラやストレスを解消して、やる気をおこし、人間関係もスムーズに楽にできる科学的なセルフコントロール法のひとつ

              ドイツの精神科医シュルツ博士

              1961年成瀬博士によって紹介。

自己暗示などによって、全身の緊張をとり、理想的な心身の状態である「頭寒足熱状態」にする方法。

<自立訓練法研修プログラム>

1)全身を暖めて、体の力を抜く。

2)一点に集中する練習をする。

3)複式呼吸法がうまくできるようになる。

4)自律訓練法第2公式までできるようになる(第6公式まであるが、第2公式までの練習で、自律訓練法で得られる効果がほとんど受けられるため。

<自律訓練法の公式>

公式0:安静感「気持ちが落ち着いている」

公式1:重感「両手両足の力が抜けて重た~い。ゆったりとしている。」

公式2:温感「両手両足が温か~い」

公式3:心臓調節「心臓が静かに打っている」

公式4:呼吸調節「呼吸が楽だ」

公式5:腹部温感「胃のあたり(太陽神経叢)が温か~い」

公式6:額部冷涼感「額が涼しい」

<自律訓練の効果>

合理的なストレス解消法で、次の効果が確認されている。

1)蓄積された疲労の回復ができる。

2)イライラがとれ、穏やかな気持ちになり、人間関係もスムーズになる。

3)自己統制法が身につき、衝動的な行動が少なくなる。

4)集中力がつき、仕事や学習の能率が上がる。

5)肩こり、不眠、体調不順などの身体的痛みや、精神的な苦痛がやわらぐ。

6)自己向上性が増し、目標達成、問題解決のアイデアが出やすくなる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/身体活動とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/身体活動とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P186188  身体活動の可能性〕

運動療法というよりは、身体活動。

通勤のために歩行、階段、家事における体の移動など、日常生活の動作をすべて含めて身体活動と理解する。

     多様性に着目した身体活動(運動)の分類■

運動                     高齢者                         コンディショニング              生活習慣病治療              競技スポーツ

強さの指標              自覚症状       自覚症状       自覚症状       心拍数

                            心拍数                         心拍数                         心拍数                         AT

                                                                                                                VO2max

頻度                     2-5/                        2-3/                        3-5/                        5-7/

持続時間              10分から       10分から       20分以上       種目による

活性酸素システム              関連少ない    制御                            制御                            時に亢進

長寿への効果              あり                            あり                            あり                            種目による

                            (転倒防止効果)                                                                                 が一般的になし

対応する英語              Physical Activity                   Leisure Activity                   Fitness, Exercise                   Competitive Sport

                                                                                                                  Physical Activity

健康づくり                                                                                                 

体力づくり                                                                                                 

<身体活動とアンチエイジング>

・身体活動のアンチエイジングへの可能性は、運動習慣が寿命を延長させるか否かを研究することで明らかになる。

     20033月米国スタンフォード大学のMyers Jらは、6213名の男性を約6年間追跡調査し、運動能力が全死亡率の強力な予測因子であることを示した。

     運動負荷試験で8メッツ以上の運動能力を有しているものでは、明らかに予後がよかった。

     8メッツの運動能力:1時間8kmペースの速歩、乗馬なのに相当する。

     体力の判定基準のひとつである運動負荷試験を施行し、その結果を寿命という健康の主な指標に結びつける点で身体活動の可能性を明らかにしている。

     デンマーク、Schnohr Pら、7023名の対象者を5年間追跡調査し、身体活動(Leisure-Time Physical Activity)4分割した最も高い活動群では、最も低い活動群に比べ、男性で約30%、女性で約35%死亡率が低いことを示した。

     米国ピッツバーグ大学Brach JSら、平均年齢74.2歳の女性229名を対象に、14年間追跡調査を行い、常に行動的な生活をしている女性とほとんど活動していない女性とを比較すると前者では、明らかに日常生活上の支障が少ない。

●身体活動の可能性は、寿命を延長させるだけでなく、クオリティーオブライフ、生活の質を高める上において重要。

<身体活動と血管障害発症抑制>

     身体活動は、死亡率の低下を介した寿命の延長だけでなく、冠動脈疾患、脳血管障害発生を抑制する。

     Maiorana Aら、血管拡張性に働く一酸化窒素(nitric oxide; NO)と身体活動との結びつきについてまとめた。

有酸素運動を中心とした身体活動はNOを増加し、血流を安静時の3-6倍に増すことが示され、動物実験では3-4週間の身体活動継続によってNO産生増加が認められた。

NO産生増加は身体活動がeNOS(血管内皮依存性NO合成酵素)を増やすことによって生ずる。

過度な運動は、体内の抗酸化物質が減少し、加齢に伴う血管硬化への身体活動の硬化も低下してしまう点。

     動脈硬化を慢性の炎症過程と考えた場合の指標である高感度CRP(high-sensitive CRP: hCRP)に関する身体活動の影響が、Ahramson JHらにより研究された。

1ヶ月のうち身体活動を行う回数が増えるほど炎症および動脈硬化の指標であるhCRP値が抑えられ3日に2日の身体活動では、約40%低下した。

身体活動が抗炎症作用によって「アンチエイジング」に寄与する可能性を示唆する。

     脳血管障害に関して

2003年、Lee CDがメタ解析をStroke誌に掲載。

症例追跡研究では、身体活動度の高い人々は、脳血管障害発症の危険性が64%低下すること、身体活動を4分割して最も活動度の高い人は低い人に比べて25%は症危険性が低下する。

     身体活動の発癌抑制効果もその可能性が十分期待でき、大腸癌、前立腺癌、乳癌などの発症抑制効果が報告されている。

     米国フレッドハッチンソンセンター:1週間に1.25-2.5時間の速歩によって乳癌の発症率が18%減少したという報告。

     アンチエイジングのための身体活動実践■

禁忌項目:

健康高齢者:なし

              糖尿病:高/低血糖、眼底出血

              高血圧:220-250以上

              高脂血症:なし

              虚血性心疾患:胸部症状、心電図変化

              骨粗鬆症:痛み、関節可動域制限

1.メディカルチェック

1)問診、身体所見、臨床検査

リスク解析、・服薬チェック

2)合併症チェック:特に整形外科的合併症チェック

3)運動処方関連:心電図―ダブル・プロダクト

(心拍×収縮期血圧)―呼気ガス、乳酸(必要に応じて)

2.運動処方

1)運動種目

1)      日常生活内身体活動:レクリエーショナル アクティビティー

2)      有酸素―レジスタンス トレーニングストレッチングの3種類が基本

息止め(禁)、骨粗鬆症では腹/背筋トレーニングも行う

2)運動強度

1)      50%VO2max(最大心拍の60%)138―年齢/2を目安としても良い

2)      RPE(rate of perceived exertion)Borgの指数

RPE=9 “楽である”:50歳以上では110/分を目安とする

3)      自転車負荷では25W/2分程度の多段階負荷を基本とする。

8メッツ(metabolic equivalents)がアンチエイジングのための身体活動の指標

3.5ml/kg/      8メッツ:8km/hrのジョギング、乗馬、溝堀り

4)      運動終了後15秒から5分にかけての心拍数は注意する。

AT:有酸素的エネルギーに無酸素的エネルギー産生が加わるポイント

          換気ガス、乳酸濃度(4mM)などから求める

3)運動時間

1)      → 予防としては10分間からスタート → 1週間(1ヶ月単位)で把握

2)      → 治療としては30/日 → 1週間(1ヶ月単位)で把握

4)運動頻度

1)      3日坊主を繰り返すー1週間3日以上

2)      運動週間開始の時点と途中、および、ゴール設定を分ける。

                                         

3.フィードバック

血糖・中性脂肪 ― 血圧 ― コレステロール・心室性期外収縮― 

1週間          1ヶ月          2-3ヶ月   

                            → 3ヶ月で運動耐用能はほぼプラトーになり、心機能改善は6ヶ月。

P189191  有酸素運動とアンチエイジング〕

●酸素呼吸をしている生物は、有機物中の水素を終局的に酸素により酸化して水をつくる。

グルコースや脂質など有機物中の水素が直接酸素によって酸化されるのではなく、多くの場合、有機物中の水素は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型(oxidized form of nicotinamide adenine dinucleotide; NAD+)、または、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の酸化型(oxidized form of nicotinamid adenine dinucleotide phosphate; NDAP+)に受け継がれ、その後、一連の酸化還元酵素による電子伝達系の作用により、最終的に酵素に伝えられて、水が形成される。

各物質の前の還元型物質がその直後の酸化型物質を還元し、この繰り返しによって分子状酸素を水にする。

ミトコンドリアの電子伝達系により、酸化的リン酸化と共役して、水の形成とともにエネルギーを獲得。

有酸素運動能は、外気から酸素を取り込みミトコンドリアにおいてエネルギー源であるアデノシン5’-三リン酸(adenosine 5’-triphosphate; ATP)を合成する大がかりなシステムである。

その酸素運動能の指標:最大酸素摂取量

最大酸素量酸素運搬機構である呼吸循環系と酸素を消費する最大の組織である骨格筋の機能を統合したものである。これらの器官や組織を調節する内分泌系や神経系も関与。

<加齢に伴うエネルギー産生機構の問題点>

・加齢に伴い、筋と身体全体の有酸素能力が減少。

・筋量の減少はその有酸素能力におおきな影響を及ぼす。

In vitro, in vivoの両面から研究が進められている。

     バイオプシー法で筋を採取し、筋の酵素の活性を測定し、運動回復期の酸化的リン酸化系の変化を観察した報告。

→ Conleyら、25歳から80歳のヒトを対象にバイオプシー法を用い、直接、細胞内のエネルギー物質であるエネルギーリン酸化合物の測定を行った。

・外側広筋を採取し、筋組織に含まれるアデノシン三リン酸濃度、総クレアチニン濃度とクレアチンリン酸などの濃度を測定した。

→ 加齢に伴うリン酸化合物の濃度の減少は観察されなかった。

・電気刺激による回復期のリン酸化合物を測定し、その酸化能力を推定した結果、高齢者群は、若いヒトに比べ、50%程度低い。

・低下の原因:ミトコンドリアの容量密度が高齢者群で統計的に有意に低い。

     エネルギー源であるクレアチンリン酸は電気刺激の時間と共に減少する。

     筋収縮を続けることによりクレアチンリン酸の減少は観察される。

     クレアチンリン酸は、刺激停止後、徐々に回復する。

→ この回復の仕方が、加齢の影響が観察される。

     クレアチンリン酸は、細胞内で、クレアチンとATPからクレアチンキナーゼによって合成。

     クレアチンリン酸合成能は、大きくATPの合成能に依存する。

<酸素摂取量と老化>

ATPを常に供給するためには、エネルギー供給系であるTCA回路の駆動を円滑に進めることが条件である。

・有酸素的なエネルギー産生能は、その酸素の取り組みに依存する。

・個体の酸素摂取能力と筋細胞でのエネルギー消費に依存する。

酸素運搬能力や筋でのエネルギー消費量は、個体によって異なり、最大酸素摂取能力を決める大きな要因となっている。

     Houmard JAら、加齢に伴い、最大酸素摂取量、および、体重あたりの最大酸素摂取量の低下が起こることを報告。

→ 加齢に伴い直線的に最大酸素摂取量が減少。

原因:加齢に伴い、動脈壁の脂質増加、結合組織増加による血管変性が大動脈、冠動脈、脳動脈、などに起こる。気道の粘膜萎縮、せん毛運動の消失、粘膜下組織の繊維性変化、また、気管支壁の粘膜、筋、腺などの萎縮が原因。

肺:肺胞面積の減少、機能肺胞の減少、肺胞血管壁の肥厚などが加齢に伴い、現れる。

胸壁のコンプライアンスが減少、肺活量および1回換気量が減少。死腔が増加し、肺胞―肺胞血管の間の拡散能も低下。運搬機能変化の結果、最大酸素消費量(VO2max)は、年齢とともに直線的に下降する。

筋組織においては、TCA回路を構成する酵素活性の低下が観察されている。

加齢とともに、最大酸素摂取量は、低下する。

<加齢と酸素活性の変化>

     ミトコンドリアは糖質や脂質を分解、効率よくATPを産生する細胞内器官である。

     ミトコンドリアが発育や老化に伴い、その形態や機能が大きく変化する。

     Conleyら、ミトンドリア容積密度が成人に比べ高齢者で有意に低い。

     ミトコンドリアそのものの酸化能力も成人に比較し50%低い。

     酸化能力の低下は、酸化酸素の活性化の低下を意味する。

     ミトコンドリアのチトクロムCやクエン酸合成酵素の活性が加齢に伴い減少。

     酵素活性の低下:老化に伴い、ミトコンドリアDNAの突然変異、ミトコンドリア蛋白質合成の低下、酸化的ストレスによる損傷などが原因。

     ミトコンドリアDNAの加齢に伴う変化:Barazzoniら、ミトコンドリアDNAコピーは骨格筋や肝臓で減少する。

     若いラットに比較して、遅筋であるヒラメ筋で著しい減少(-40%)が観察。肝臓において50%の減少。

加齢とともに、体重あたりの最大酸素摂取量は低下する。

P192194  レジスタンストレーニングとアンチエイジング〕

     レジスタンストレーニング:

筋力トレーニング、ウエイトトレーニングなどと基本的に同じであるが、日常生活の場でごく普通にダンベルをもったり、ゴムのチューブを使って身体を動かすなど、身近な、負荷材料を用いて骨格筋に負荷をかけ、筋力のみならず、筋持久力や柔軟性を高めるなど、活動力のある筋機能を獲得することを目的に行われている。

<加齢に伴う骨格筋機能の変化>

     筋力(力の大小)、瞬発力、持久力などの筋の機能は、筋線維タイプと筋量に依存

     加齢に伴う筋量の低下は、筋力に反映する。

     加齢に伴う瞬発力の低下の原因筋線維タイプII線維の減少とエネルギー代謝系の変化。

     神経細胞の変化から:サイズの大きな有髄線維の数が加齢に伴い減少し、部分的な髄鞘の欠如、絞輪間距離の短縮などが瞬発力低下の原因。

     加齢に伴う筋持久力の低下の原因:筋萎縮に伴い筋に貯蔵されているエネルギー源の減少、筋への酸素運搬能力の低下、筋での酸素利用能力の低下、神経系の機能の変化。

<加齢に伴う骨格筋細胞の変化>

・加齢に伴い骨格筋細胞内の収縮装置、エネルギー産生装置などに変化がみられる。

     収縮装置の変化:顕著なミオシン重鎖IIBの減少が観察。

→ 速筋線維の数の減少を反映。

     ギブスやベッドレストのような不活動に伴う変化:

速筋線維より遅筋線維の減少をもたらす。

     速筋線維の減少は、老化に伴う変化。

     エネルギー産生装置の変化:ミトコンドリアの量と筋細胞萎縮に伴う細胞質の減少

     有酸素運動でのATP産生や酸化的リン酸化系の酵素活性の減少をもたらす。

     筋細胞萎縮に伴う細胞質の減少は絶対的な解糖系の減少を意味する。

<高齢者のレジスタンストレーニング>

     加齢に伴い、アンドロゲンや成長ホルモン分泌が減少する。

     レジスタンストレーニングにおける筋の成長は筋組織内部で産生されるIGF-I, FGF, TGF-βなどの成長因子に依存する度合いが大きいことが明らかにされた。

     80-90歳の高齢者でもレジスタンストレーニングにより筋の肥大が観察された。

     筋の肥大に伴う筋細胞の肥大機構や増殖機構については未知なる部分が多かったが、この両機構にサテライト細胞などの幹細胞が深く関与していることが報告

→ 骨髄幹細胞や肝幹細胞の役割が示唆。

<レジスタンストレーニングと骨格筋機能>

・加齢に伴う骨格筋の変化:筋横断面積と総筋線維数の減少

     筋横断面積の減少:速筋線維の萎縮による。

     筋線維数の減少においては、速筋線維を支配する運動単位の減少が示唆されている。

     Romanら、レジスタンストレーニングによって、上腕二頭筋の筋力が増加し、速筋線維が有意に肥大、と報告。

     Fronteraら、上肢だけでなく下肢部に対するレジスタンストレーニングで、速筋線維や遅筋線維が肥大すると、報告。

     レジスタンストレーニングによる筋線維型と遺伝子発現においては議論の余地があるが、総合的にレジスタンストレーニングは、加齢に伴う骨格筋の機能低下を抑制し、改善するようである

<レジスタンス運動の生活習慣病に対する効用>

●糖尿病予防

     血中インスリンは活動時間の長さとともに低下。

     活動している筋の取り込みはインスリン感受性の増大ともとれるが、筋活動そのものが糖の取り込みを促進する機構が存在することが推測。

     AMP-activated protein kinaseによるGLUT-4の筋細胞膜上へのtranslocationによるものと報告。

     筋活動に伴う糖の取り込み:インスリン感受性の増大をもたらすことと機械的刺激による糖の取り込み機構の活性化による。

     レジスタンストレーニングによる筋肉づくりと積極的な持久的筋活動がもとめられる。

●肥満

     肥満は、運動不足、食べすぎ、熱産生障害、遺伝などの因子におり起こる。

     肥満は、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化などを引き起こすリスクファクターの一つ。

     肥満に対する運動効果:インスリン抵抗性の改善、代謝異常の改善、体脂肪の減少による体重の減少。

     肥満に対するレジスタンス運動を有効に活用すれば、筋力、筋持久力を増強し、有酸素運動と同じように体組成を改善することができる。

●高血圧

     運動不足による肥満、大量アルコール摂取に伴う血管平滑筋の収縮、高コレステロール食によるLDLコレステロールを因子とする動脈硬化などが、高血圧の成因としてあげられる。

     高血圧が長く続くと、血管障害、心疾患、脳血管障害等を引き起こす。

     運動による効果:利尿効果が高まり、心拍出量の減少、血漿粘度の低下、血管拡張に伴う血管抵抗の低下脂質代謝が亢進する。

     これらの効果は、軽度の持久的運動であり、怒責を伴うようなレジスタンス運動はやってはならない。

●高脂血症

     中性脂肪とコレステロールが異常に増加した状態。

     一次性:家族性に発生

→ 中性脂肪、コレステロールの代謝処理障害から発生することが多く、角膜周辺に白色輪、皮膚にはコレステロールなどの沈着、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、壊疽などの発生原因の一つになる。

     二次性:肥満症、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、閉塞性黄疸

     運動による効用:高比重リポ蛋白が増加

     高比重リポ蛋白:末梢細胞の余剰コレステロールを引き抜き、そのコレステロールを超低比重リポ蛋白、中間型リポ蛋白、低比重リポ蛋白へコレステロールエステル転送蛋白の働きで移す

     低比重リポ蛋白のコレステロールは肝臓に運ばれる

     動脈硬化形成には、抑制的に働く。

     中性脂肪の分解:膵リパーゼ、リポプロテインリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼによって起こる。

     骨格筋での脂質の取り込みに関与するリパーゼは、リポプロテインリパーゼであり、貯蔵中性脂肪の脂肪分解は、ホルモン感受性リパーゼによって行われる。

     運動時のホルモン感受性リパーゼ活性を刺激するメカニズム:血中カテコールアミンの増加に伴い、βアドレナリン受容体―アデニル酸シクラーゼ系が活性化され、A-kinaseを介してホルモン感受性リパーゼ活性が増加する。

     筋肉活動(機械的刺激)そのものが何らかの機構で中性脂肪分解を亢進させるものと考えられる。

P195199  ストレッチとアンチエイジング〕

●ストレッチング:筋、靭帯、腱などの組織を引き延ばして、関節の可動域を広くする目的で用いられる動作。

●ストレッチングの目的:

1)関節の可動域を広くする

2)筋、腱、靭帯などの障害を予防する

3)筋の緊張を和らげリラックスさせる

4)筋の疲労回復を促進する

高齢者の場合:筋や腱が萎縮傾向にあり、物理的に伸張する(ストレッチ)ことの重要性。

<ストレッチングと柔軟性が運動能力に及ぼす効果>

柔軟性とは:関節周りの可動範囲(range of motion: ROM)の程度を表すもの。

・柔軟性の主な制御因子は、関節を構成する骨構造と軟部組織である。

・筋肉、筋膜鞘、腱、靭帯あるいは関節嚢などの軟部組織はストレッチングで柔らかくすることが可能である。

     関節の可動域を少なくする最大の要因:筋を覆う筋膜鞘の伸展性が低いことによる。

     ストレッチングの最大のねらい:筋膜鞘の柔軟性を高めて可動域を大きくすること。

     関節の可動域が大きいこと:ダンスや体操、フィギュアスケート等のスポーツでは動きの表現系としての優れた柔軟性は欠かせない要素。

<筋の持久性に及ぼすストレッチングの効果>

・効果的疲労回復の手段:ストレッチングとマッサージが利用される。

     男子大学生6名、前腕の把握作業、運動は、最大筋力の1/3の重りを2秒に1回の店舗で持ち上げ、ほぼ90回で運動ができなくなった。その後、約8分の休息をはさみ、同じ運動を5セット行った。その各セット間の休息時にストレッチとマッサージを行った場合と、行わない場合において、比較。

     休息のみ:セットが多くなるに伴い急激に運動回数が減少し、5セットめには初めのセットの30%に疲労する傾向をしめした。

     ストレッチとマッサージをした場合:3セットまでは、ほとんど疲労がみられず、5セットめでも、80%くらいの運動回数を維持できた。

●運動を繰り返すときの休息時のストレッチングの効果をしめすもの。

<ストレッチングの種類>

●静的ストレッチ

・筋を完全にリラックスさせた状態でゆっくりと関節の可動域を広げていく方法である。

     伸張させる筋の姿勢を長く保持することにより、伸張反射を弱めながら目的とする筋をストレッチすることができる。

     筋の異常な負荷をかけることもなく、安全性の高い方法である。

●動的ストレッチ

・反動を利用して、動的に行うストレッチの方法である。

     動的に筋を伸張させるために、身体部分を動かすスピードと重量を活用する技法である。

     スピードをつけてストレッチするために伸張反射が働く。

     目的とする筋群を伸ばそうとするためのストレッチから発生する力と、同じ筋群の反射性の収縮により発生する力とが方向の相反する力の組み合わせは、伸長されようとする筋に強い衝撃を引き起こすおそれがある。

     ストレッチ速度に十分に注意しなければならない。

proprioceptive neuromuscular facilitation (PNF)

・伸張しようとする筋を等尺性収縮させ、その後、リラックスさせ、次にストレッチさせる方法である。

1)伸張させようとする筋を伸展位におく

2)その筋にゆっくりと静的収縮を行わせる(約5秒間)

3)その後、筋をリラックスさせる。

4)リラックスさせたのち、ストレッチングに入る。

5)以上の手順を35回繰り返す。

     最初の伸展位によって、目的の筋の筋紡錘が刺激され伸張反射を引き起こし、筋収縮が生じる。その伸展位からわずかなものでかつしばらく保持されるならば、筋紡錘の感受性はリセットされ、ストレッチングされている筋はリラックスする。

     静的収縮により、ゴルジ腱器官が刺激されて目的とする筋のいっそうの弛緩をもたらす。それにより、伸展の範囲がさらに増す。

・この方法は、ストレッチングに加えて、静的筋収縮が加えられるので、関節の可動域の増大に加えて、筋力増加の可能性も生じる。

     コンビネーションストレッチング

・主動筋をゆっくり収縮させると拮抗筋は相反性の抑制機構が働きリラックスする。

・長座姿勢で膝を伸ばし、足先を膝の方向に寄せる(足背屈)。同時に大腿四頭筋を最大に静的収縮させる。

<ストレッチングの実際>

正しい方法のポイント

1)リラックスして、ゆっくりと、じっと伸ばし続ける。

2)楽な、やりやすい得意なほうからはじめる。

3)一気に伸ばすのではなく、分担して、一部の筋を意識してのばすようにする。

4)いずれの部位の筋をストレッチするにせよ、まず背筋や腰を伸ばしてから行う。

5)呼吸は重要なポイントである。ややゆっくりと吐きながら行い、息を止めてはいけない。

6)目的とする筋を伸ばし続けることが大切で、そのためには、初めは弱く徐々に強くしていく。

7)筋は冷えると短縮してしまうので、軽い全身運動で身体を暖めたのちに、身体を冷やさないようにしながら行う。

8)風呂上りは、体温も上昇し、柔軟性も高められるので、ストレッチングを行うには、最適である。

P200202  アンチエイジング身体活動(運動)処方〕

<運動実施の現状>

○運動やスポーツを全く行わない人(スポーツ不実施人口)の割合:20-30歳代では20%程度。

40歳以降で増加し、70歳を超えると約50%となっている。

              → 70歳以上の高齢者の約半数は、まったく運動をしていない。

              加齢に伴う非実践者の増大をもたらす要因は、退行性疾患

[動かないこと(運動不足)]は、退行性疾患の<原因>であるが、同時に(適応)ともなっている。

運動実施状況から高齢者を区別すると、

1)やる人は、ほっておいてもやる。

2)やらない人は、努力しても容易ではない。

              → 運動や身体活動の習慣を定着させること

3)できない人は、できない。

              → 心理的バリアをとって、動くことの喜びを沸きあがらせる。

<高齢者の身体活動増進のための行動科学理論>

高齢者の活動的生活習慣獲得へと誘う行動科学理論

     対象者の選定(Targeting)

     行動変容のための媒介変数(Mediator)

     行動変容のための介入(Intervention)

     対象者の選定(Targeting)

定義区分として運動習慣ステージが利用されている。

     トランスセオレティカルモデルにおける運動習慣のステージ■

無関心期:運動習慣をもたず、今後6ヶ月以内に運動を開始する意志もない者

関心期:運動習慣をもたないが、今後6ヶ月以内に運動を開始する意志がある者

準備期:不定期だが何らかの運動を行っている者

実行期:定期的に運動を行っているが、その習慣が6ヶ月以上継続している者

維持期:定期的に運動を行っており、その習慣が6ヶ月以上継続している者

              対象者を区分(Segmentation)し、その内の特定区分を対象として選定(Targeting)したうえで、その各々の特性に合わせた適切な働きかけ(Tailoring)を行う。

     対象区分(Tageting)のための変数■

内容 評価

人口統計変数              性・年齢・職業・人種                            だれ?

地理変数              居住地・出生地                                          どこ?

身体変数              身体能力・疾病履歴                            特殊なニーズ/行動のバリアの探索

行動変数              生活パターン                                          何を行い、何を行わないか?

                            メディア利用度                                          どこから情報を得るか?

                            行動ルート                                どこで出会うか?

心理変数              思考と表現の枠組み                         何を考え、何を信じているか?

                            思想信条・態度と心構え                     学習可能性を最大限にするには?

●行動変容のための媒介変数(Mediator)

■行動変容のための媒介変数(Mediator)

変数

自己効力Self-Efficacy

              運動やアクティブな活動を行う上でのさまざまな特定阻害要因を克服する自信感。

社会的支援Social Support             

自分の行うべき行動変容に関して、アドバイスしてくれる人や理解・応援してくれる人がいるという認識。

意思決定バランスDecisional Balance

適切な行動をとることの恩恵(Pros)ならびに取らないことの負担(Cons)に関する認識のバランス

行動的スキルBehavioral Skill

行動変容を達成するための具体的実行行為(目標設定、セルフ・モニタリング、自己強化など)ならびにその認識の程度。

周辺環境Neighborhood Environment

運動や身体活動を行う上で、自己の周辺に適切な環境が整っていると感じていている程度。

・これらのMediatorを改善させるようなプログラムを施行することによって、介入の学習効果を高めることができる。

●行動変容のための介入(Intervention)

行動介入(Intervention)Targetingを踏まえて、各人のBehavioral Mediatorを改善し、最終的に望ましい生活習慣が定着するようになるようなプログラムを提供すること。

P203204  高齢者のための運動療法〕

<高齢者の健康づくりの目標>

高齢者では、身体諸機能の水準が低いことから、日常生活動作(activities of daily living; ADL)に障害が生じやすい。

     ADLの維持改善:高齢者における健康づくりの重要な目標。

     高齢者が日常生活を自立して営むために必要なADL:起居、移動、家事、身辺

それぞれの能力を客観的に評価する方法(生活体力測定法)が開発されている。

・身体活動・運動を長期(5年間)継続することにより、生活体力は維持され、ADL障害の発生や死亡が抑制されることが確認されている。

<高齢者の生活機能維持増進のための身体活動とその方法>

身体生活機能の維持増進を図るための身体活動の実施方法:

              長期基本型:多様な身体活動をできるだけ多く実施する。

                                          一日あたりの身体活動量を増やす。

短期集中型:目的に応じた最適な運動条件(種類、強度、頻度、時間)を設定して、短期間に集中して行うもの。

           専門家による処方や指導を受け、短期間に大きな効果をあげることができる。

<日常生活における長期基本型運動>

     年齢に応じた長期基本型運動■

前期高齢者(6574)における活動

     能力に応じた仕事(フルタイム、パートタイム)

     知識や経験を生かした地域活動やボランティア活動

     知的、文化的学習活動

     興味や関心を生かした趣味やクラブ活動

後期高齢者(75歳―)における活動

     興味や関心を生かした趣味活動

     家庭内役割活動

     地域での相互扶助活動(ネットワーク活動)

     起居能力を維持増進するための運動

床からの起き上がり動作(上体起こし動作):腹筋群(腹直筋、内外腹斜筋)

床や椅子からの立ち上がり動作:大腿四頭筋(脚伸展筋力)

→ 上体起こしや上半身の捻転運動による腹筋群の強化、スクワット、下腿の伸展運動、階段登行なのによる脚伸展筋群の強化運動が有効

     歩行能力を維持増進するための運動

最大歩行速度の低下

→ 歩幅の減少、歩行率の低下、下肢関節(股、膝、足)の可動性の低下、単脚支持時間の短縮、両脚支持時間の延長。

→ 下肢の瞬発力や筋力、平衡性、敏捷性といった生理的機能の低下。

     身体運動動作を維持増進するための運動

身辺動作には、衣服の着脱、整容、入浴、トイレ等。

肩関節を回したり、身体を屈めたりなどの動作。

肩関節や体幹部関節の可動性が主な制限因子。

     手腕動作能力を維持増進するための運動

衣服のボタンかけ、裁縫、調理、食事、書字等

手指と前腕の粗大運動と指先の緻密な運動によりなりたつ。

指併せ運動、指のタッピング、手腕の回転運動。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/漢方のハーブとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/漢方のハーブとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P183185  メディカルハーブとアンチエイジング〕

ビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸を中心とした栄養サプリメントとならんで、さまざまな薬効をもつハーブサプリメントは、通常の食事から補給しにくい。

<ギンコー(銀杏)Ginkgo tree, Ginkgo biloba – 神経系の血流改善作用>

     銀杏は漢方薬として、15世紀半ばの中国に文献的記載がある。

     近年では、約20年前にドイツにおいてその成分が抽出された。

     神経系の末梢循環不全の治療薬として注目。

     記憶障害、めまい、耳鳴り、頭痛、不安症などに処方。

     間歇性跛行にも有効。

     銀杏の葉の抽出物は、in vitroで一酸化窒素を介した血管拡張作用を持つことが報告。

     1997年に報告された論文、300名のアルツハイマー患者に1日量として120mgの銀杏葉抽出物を投与し、有効な症状の改善が見られた。

     副作用は、1万人を対象に行われた研究で、約1.7%に吐気や胃腸障害。

<エキネシア(和名:ばれん菊)Purple corneflower, Echinancea purpurea – 免疫能向上作用、風邪予防>

     米国先住民が切り傷や抗炎症作用を目的にした薬草として利用。

     20世紀以降の研究で、エキネシアには風邪の予防と治療効果、ウィルス性の上気道感染症に効果がある。

     基礎研究では、エキネシアの抽出物が白血球の貪食作用を活性化すること、Tリンパ球の機能を向上させることが報告。

     顕著な副作用はない。

<マリアアザミ:Milk Thistle Silybum marianum – 肝機能改善>

     ギリシャ時代から、マリアアザミの種には、黄疸の治療効果があることが知られていた。

     近年の研究で、種に含まれるシリマリン(Silymarin)という成分に薬効があることが報告。

     活性酸素除去作用と過酸化脂質の発生予防効果、さらに5-lipooxygenaseの活性を抑制。

     DNA依存型RNAポリメラーゼを活性化し肝臓における蛋白合成を促進する作用。

     肝細胞の再生能力を促進すると考えられる。

     アルコール性肝障害やウィルス性肝炎の治療に効果的

     薬剤性肝障害にも効果的

     常用量は1日あたり200-400mg

     軟便になることがまれにある、以外に特記すべき副作用なし。

<セントジョーンズワート(和名:西洋おとぎり草)St. John’s Wort, Hypericum perforatum – 抗うつ作用>

     薬効は、抗うつ作用

     抽出物には、ノルエピネフリン、セロトニン、ドパミンの再吸収を阻害する作用がある。

     GABA受容体に結合し、ACTH分泌抑制作用を起こすことも報告。

     通常は抗うつ剤として使用。

     創傷治癒促進や抗細菌作用などの目的で使用。

     臨床研究では、セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)との二重盲検法による比較で、SJWSSRIと同様の効果があると認められる。

     SJWには肝臓の薬物代謝酵素P450を活性化することが知られている。

     ワーファリン、テオフィリン、サイクロスポリンなどの薬効が減少する可能性があるため併用時に注意。

     SJWは薬物運搬作用のあるPグリコプロテインを誘導するためジゴキシンの薬物活性が低下。

<ノコギリヤシ:Say Palmetto, Serenoa repens – 前立腺肥大治療>

     前立腺肥大症に効果あるサプリメントとして知られている。

     ノコギリヤシの実から抽出される脂肪酸とそのエステル:抗炎症作用、成長因子阻害作用、抗アンドロゲン作用があることが報告。

     この抽出物には5α-還元酵素を阻害しテストステロンからジヒドロテストステロンへの変化を抑制

     in vitroでは、α受容体を遮断する作用がある。

     臨床的にはその効果が広く認められており、欧州では、前立腺肥大に対して最初に処方される。

     米国で最近報告された研究結果では、6ヶ月間44人のBPH患者に106mgのノコギリヤシの抽出物を投与したところ、前立腺の大きさやDHT、前立腺特異的抗原(prostate specific antigen; PSA)などには大きな変化が見られなかったが、前立腺上皮退縮や臨床症状の改善が認められた。

     副作用はなし。

<ビルベリー:Bilberry, Vaccinium myrtillus – 眼科疾患>
・夜盲症、緑内障、網膜変性疾患、などの眼科領域の疾患に効果的。

     薬効は、アントシアノイド(Anthocyanoides)に由来する

     コラーゲン線維を維持することで、毛細血管からの出血を抑制すると考えられる。

     アントシアニジン(Anthocyanidin)として60-100mgの投与が推奨。

     顕著な副作用なし。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/サプリメントとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/サプリメントとアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P173174  サプリメントの可能性〕

●現代はカロリーと脂肪や糖分などの栄養素を過剰に摂取してしまう「飽食の時代」。

カルシウム、鉄などのミネラルや葉酸などのビタミンが不足している。

     ビタミンE、ビタミンB群などは栄養所要量異常に摂取することにより、加齢が主要要因となる生活習慣病に効果がある。

     加齢により、高齢者の多くが肉体的機能が低下し、

     「死の四重奏」といわれる生活習慣病:糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満に罹患する。

→ 加齢だけでなく、食事、運動、休養が3つの関連因子。その中で食事の影響が大きい。

■アンチエイジングのためのサプリメント

              抗酸化作用と免疫賦活作用。

     酸素呼吸により、エネルギー生産を行う際に活性酸素が発生し、細胞が障害を受ける。

→ 老化につながる。

     酸素を運搬する役割を担う循環器と酸素の消費量が最も多い脳における老化と酸素の関係が深い。

     LDLコレステロールは活性酸素により酸化されて、酸化LDLコレステロールとなる。

→ 高血圧、糖尿病、動脈硬化などの発症を促進する原因。

・痴呆:加齢によりその発症率が増加。主な原因は、脳血管性痴呆とアルツハイマー病。

     脳血管性痴呆:脳の血管の梗塞または出血を原因として発症。

     脳梗塞は高脂血症、動脈硬化を原因とし、脳出血は高血圧を主な原因とする。

     アルツハイマー病:離分解性の蛋白質(アミロイド)が蓄積し、脳細胞に障害を及ぼす。

→ アミロイドの生成されるメカニズムは不明であるが、フリーラジカルの酸化?

     免疫:防御反応は、加齢により機能低下。

高齢者は免疫低下により感染症に対抗できなくなり、感染症の発生率が上昇。

顆粒白血球とマクロファージが主役となる自然免疫系

T細胞やB細胞などのリンパ球が中心的役割を担う適応免疫系

     自然免疫系:外界異物に対し最初に対応して感染症を防ぐ。適応免疫系の活性化を促し、二次感染に対する抗原特異的な免疫を誘導。

     適応免疫系の加齢による低下は、自然免疫系に比べ大きい。

     加齢に伴いビフィズス菌などの乳酸菌が減少。大腸菌やクロストリジウム菌などの腐敗菌が増加する。

     腐敗菌はインドール、フェノールなどの発癌物質を生成する。

・サプリメント:薬事法、健康増進法、景品表示法などの厳しい規制を受けている。

・食品の健康機能表示制度:個別評価型の許可制度である特定保健用食品を1993年に施行。

     世界貿易期間(WTO)に委託されて食品の国際基準を決定するコーデックス(Codex Alimentarius)において、疾患のリスク低減表示を含めた健康機能表示のガイドラインの制定が最終局面を迎えた。

     米国において1994年制定のダイエタリーサプリメント健康教育法(Dietary Supplement Health & Education Act) により定義されたダイエタリーサプリメントとは:ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、その他の食品成分で、カプセル、錠剤、液体、粉末、ソフトゲルの形態をしているもの。

     日本でのダイエタリーサプリメントの訳語:栄養補助食品とは、カプセル、錠剤などの形態で健康機能を有する食品として一般に考えられている。

     20014月厚生労働省が通常の食品形態のみに限定されていた特定保健用食品をカプセル、錠剤などの形態も含める制度に改訂。規格基準が定められていた機能表示のできる栄養機能食品との2本立てとする保健機能食品の制度を設立した。

     Supplementation:補う。食品の形態によらず、食品成分または通常の食生活に追加して摂取することで健康の維持・増進に役立つ食品成分を含む食品と定義。

P175175  サプリメントアップデート〕

サプリメントに関して2002-2003年にかけて、臨床医学や内科系の専門誌で特集。

JAMA:潜在的ビタミン不足と生活習慣病の関連にもふれながら基本的にはサプリメント支持。

ランセットとアナルスオブインターナルメディシン:心血管病変(心筋梗塞など)予防におけるサプリメント(抗酸化ビタミンを中心とする)効果に疑問符。

1)人を対象とした研究か?

2)投与するサプリメント・ハーブの量はどのくらいか?

3)投与期間は何ヶ月、何年?

4)比較対照群を設定しているか?それは偽薬か、薬剤か?

5)投与効果判定の指標はどのように定められているか?病態生理的な指標か?臨床的指標(血管障害発症抑制)?

米国がん協会のコホート研究:

マルチビタミンを10年以上摂取している群では、大腸癌の発症リスクが約30%減少する。

P176179  サプリメントの有効性と安全性〕

■抗酸化作用■

     老化のメカニズムと抗酸化

体内に取り込まれた酸素のうち2-3%に相当する活性酸素が発生。

     抗酸化能を有する酵素:スーパーオキシドジムターゼ(superoxide dismutase; SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ

     食品成分中の抗酸化物質:ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2、セレン、マンガンなどのビタミン・ミネラルに加え、フラボノイドなどのポリフェノール、カロチノイド、コエンザイムQ-10など。

     抗酸化作用を有するサプリメント

<ビタミン>

     ビタミンE

     抗酸化作用により、不飽和脂肪酸の過酸化、LDLコレステロールの酸化変性を抑制。

     細胞中の膜、蛋白質成分、核酸の損傷を防ぐ機能をもつことで、高脂血症、高血圧などの生活習慣病に対する効果が期待。

     ビタミンE 17mgの強化食品によるLDLコレステロールの酸化抑制と、βカロテンとの組み合わせのサプリメントによる前立腺癌の低下が報告。

     栄養機能食品の表示:「ビタミンEは抗酸化作用により体内の脂質を酸化から守り細胞の健康維持を助ける栄養素です」

     RDAを超えて摂取しても毒性がないと考えられているが、より高い摂取量では、副作用の発現の可能性が高くなる。

     推奨される1日の許容上限摂取量は1000mg、合成ビタミンEなら1100 IU、天然型なら1500 IU

     ビタミンC

     抗酸化作用により疾病予防の効果も期待され、コレステロールの合成阻害と胆汁酸の合成促進により、血圧や血中脂質を正常化する。

     ビタミンEとの併用により、心臓病のリスクを軽減するとの報告。

     心血管疾患の一次予防に有益性を示す可能性があるが、科学的実証は不十分。

     1200mgのビタミンCを野菜や果物から摂取している人は、口腔癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肺癌の発生リスクが低かった。この効果はサプリメントのビタミンCではみられていない。

     栄養機能食品の表示:「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用をもつ栄養素です」

     2000mg/日の許容上限摂取量以下で使用するのであれば、安全。

     許容上限摂取量以上を摂取すると、浸透圧性の下痢や、胃腸の不調をなどが有意な逆作用のリスクを増加させる可能性あり。

     カロテン

     植物の色素であるカロチンの代表が、βカロテンであり、レチノイドに変化して、ビタミンAとして癌予防など健康に役立ち、そのままの形で、血液中や細胞膜などで抗酸化作用を発揮し、癌、循環器疾患などの生活習慣病の予防効果が期待される。

     免疫機能強化活性もある。

     ビタミンEなどどともに、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞の予防に役立つ。

     栄養機能食品の表示:「βカロテンは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です」、「βカロテンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」

     βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰症は報告さていない。

     βカロテンは1日最大300mgまでは、安全であるが、それ以上の濃度では柑皮症(肌が黄色になる)などになる可能性。

     ビタミンB2

     エネルギー代謝の中心的役割を果たし、多くの酸化還元系で作用する。

     脂肪をエネルギーとして利用する際に必要。

     FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド:ビタミンB2の補酵素型)要求酵素のなかには過酸化脂質分解に関わるグルタチオンレダクターゼがあるため、間接的に強力な抗酸化活性をもち、動脈硬化の予防などに役立つ。

     脂質代謝にかかわるため、高脂血症の予防に役立つ可能性がある。

     栄養機能食品の表示:「ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」

     1日所要量の100倍摂取しても問題なく、副作用に関わる報告はない。

<ミネラル>

     セレン(Se)

     酸化障害に対する生体防御の役割を果たすグルタチオンペルオキシダーゼ群の活性中心であり、ビタミンE欠乏の害を防ぐ。

     セレンの補給により、皮膚癌と前立腺癌の発症率が低下した。

     βカロテン、ビタミンEとの組み合わせで胃癌をはじめとする癌の発症が低下した。

     400μg/日まで安全。過剰摂取により強い毒性

     マンガン(Mn)

     Mn-SODの成分として抗酸化に関わる。

     糖質、脂質、蛋白質の代謝に関わる酵素の構成成分として存在する。

     体内濃度は微量ではあるが、必須ミネラルである。

     コレステロールの生成に関与。

     欠乏すると脂質代謝以上を起こす。

     成人では、11mg/日まで安全。それ以上は安全でない。

    

<その他>

     コエンザイムQ-10

     ミトコンドリア内でエネルギー産生に携わる。

     油溶性の抗酸化物質として働く。

     生体内で合成され、食品中にも含まれる脂溶性のビタミン様物質である。

     医薬品として狭心症、心不全、虚血性心疾患や脳出血の治療に使われている。

     食品としての使用も許可され、動脈硬化、高血圧にも有用。

     経口で適切にコエンザイムQ-10を使用する場合、安全。

     有意な毒性の報告はない。

     グルタチオン

     抗酸化ペプチドである。

     過酸化脂質の生成を抑制し、過酸化脂質に対する防御機能を有する。

     体内で合成され、食品中に含まれる。

     グルタチオンペルオキシダーゼを介して有害物質を解毒し、肝臓の機能を強化。

     化学合成物質は、医薬品として、薬物中毒、慢性肝疾患などに使用。

     肝炎、肝臓病、心臓病(動脈硬化症、高コレステロール血症)の予防、治療に内服で用いられる。

     内服、吸入で安全であろう。

    

■免疫賦活作用■

<免疫メカニズムとサプリメント>

・小腸には生体防御機能として腸間膜リンパ節が発達している。

     乳酸菌は小腸のリンパ球を刺激して、免疫力を高めるとともに、増殖した乳酸菌が大腸を酸性の環境にすることで、悪玉菌の増殖を抑制する。

     乳酸菌を大腸で増殖するためには、乳酸菌そのもの(プロバイオティクス)と乳酸菌の成長促進物質(プレバイオティクス)を摂取する方法がある。

<免疫賦活作用とサプリメント>

     食物繊維

     小腸で消化されずに大腸に到達した食物繊維は、大腸の粘膜に刺激を与える。

     ぜん動運動を促進して、便通を良好に保つ。

     水溶性の食物繊維は、便を軟らかくする

     不溶性の食物繊維は、腸管を刺激するとともに、乳酸菌の増殖を促すプレバイオティクスとしての役割を果たす。

     サイリウム、オムギ、キチン・キトサン、グアガムは血中のコレステロールを低下。

     キトサン、低分子化アルギン酸ナトリウム、小麦ふすま、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、サイリウム種皮などの食物繊維は特定保健用食品として、「おなかの調子を整えます」「お腹すっきり」などの表示が許可。

     食物繊維は適切に用いれば安全であるが、鉄、カルシウム、などのミネラルの吸着および過剰摂取による下痢などにより、食品成分を排出させる可能性。

     オリゴ糖

     オリゴ糖は単糖が2-20個結合したものの総称。

     フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖など。

     糖消化酵素で分解されにくいオリゴ糖は分解されることなく、大腸に届く。

     ビフィズス菌を増殖するプレバイオティックスとして、腸の健康に役立つ。

     フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖などは、特定保健用食品として、「おなかの調子を整えます」「お腹すっきり」などの表示が許可。

     オリゴ糖は摂りすぎにより、お腹がゆるくなる、お腹がはるなど胃腸の不快症状がおきる。

     フラクトオリゴ糖では、胃腸のガス、げっぷ、腹痛、腸の音、腹部膨満感。

     150gの投与:胃腸の不快を感じることあり。

     130gまで、適切に用いれば、内服で、安全であろう。

     高度不飽和脂肪酸(EPA/DHA)

     ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー症状の予防と治療

     慢性気管支炎などの炎症性疾患の症状改善に効果がある。

     EPAは、l-アルギニン、RNAとの組み合わせで、手術後の回復時間を短縮し、重篤な合併症の予防、免疫能の向上に有効。

     LDL-コレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やし、血液中の中性脂肪を減らす。

     13g以上の摂取で、凝結能が低下し、出血傾向がおきることがありうる。

     多量摂取は安全でない。

     ビフィズス菌

     乳酸菌の細胞膜は多糖類で構成されていて、多糖類は免疫力を高める物質。

     生きたままの乳酸菌は、消化・吸収を促進し、大腸に到達して、プロバイオティクスとして働きをもつ。

     大腸を刺激して、便通を良好に保ち、便秘を予防することが期待。

     経口摂取により、アトピー性皮膚炎の症状を緩和するのに有効。

     ヨーグルトや乳酸飲料などの特定保健用食品は、「おなかの調子を整えます」「お腹すっきり」などの表示が許可。

     抗生物質服用による下痢、便秘などの予防に経口で有効。

     その他

<シイタケ>

     免疫賦活作用

     血清中の脂質を下げる

     高血圧や動脈硬化症に効果。

     シイタケの成分であるレンチナンにはコレステロール低下作用。

<シソ>

     抽出物には免疫抑制効果があり、優先的にIgE生産を減じる。

     シソ油には抗腫瘍活性があり、シソ油中に含まれるルーテオリンは細胞に対して抗増殖作用。

     シソ油のαリノレイン酸には、血中コレステロールと中性脂肪を減少させ、エイコサペンタエン酸(EPA)とアラキドン酸の濃度を上げ、炎症性ロイコトリエンの生成を阻害。

<マイタケ>

     抽出物が、高血圧、高脂血症、糖尿病、癌に用いられる。

     免疫賦活作用による健康効果がクローズアップ。

     科学的根拠十分でない。

    

<キャッツクロー>

     抗酸化作用、免疫活性化作用に関連する癌(特に尿路の癌)に経口で利用。

     抽出物は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、白血病やリンパ腫細胞の増殖を抑制し、正常細胞には影響を及ぼさないという予備的な知見。

     摂取方法により、頭痛やめまい、嘔吐の原因となりうる。

     血圧を下げる作用があるため、降圧剤を服用している人は注意。

     免疫を刺激する作用があるので、免疫抑制剤の作用を阻害。

P180182  アンチエイジングサプリメント処方〕

米国では、抗酸化作用をもち、体内での代謝促進に有効な栄養素をサプリメントとして補給することが、アンチエイジング的なアプローチとして主流。

<黄班変性症に対するサプリメント処方例>

・黄班変性症は、アメリカでは全人口の1%が罹患。

65歳以上での中途失明の第一位の原因であると推測。

・日本では、50歳以上で、0.67%。全国で、50万人前後の患者が存在。

・高齢者に多く発症し、加齢によるフリーラジカルを介した老化現象。

     黄班変性症は、サプリメントは有効で、数少ない、安全性と効果を裏付けるエビデンスのある疾患である。

     エビデンスだけに基づいた実際にアメリカで行われた大規模ランダマイズドプロスペ区ティブ研究に使われた容量のサプリメント■

●処方1:

経口サプリメントで視力障害を抑制する効果を調べた大規模ランダマイズドプロスぺクティブ研究を参考にしている。11施設で約10年間を追った大規模な臨床試験で、非常に信頼性が高いデータであると評価される。

サプリメントとして、抗酸化物質(ビタミンCE、βカロテン)と亜鉛を併せて摂取したグループが新生血管形成のリスクを防ぐ効果を示した。

この研究に基づく1日の摂取量を表1に示した。

表1       サプリメントの1日の摂取量

βカロテン              15mg

ビタミンC              500mg

ビタミンE              400 IU

亜鉛                     30mg

     処方2-応用編:

処方例2は処方例1をもとに、アンチエイジングには欠かせない、多種類の抗酸化栄養素も加えたものである。

・ルテインという黄班部を保護する作用がある植物由来の栄養素について研究も多い。

・黄班変性症のリスクが高い患者:黄班部のルテイン濃度が低いというデータがある。

・ルテインは網膜へのダメージが大きい青色光をカットする効果がある。

・黄班変性症のリスクを軽減するルテインの推奨量は、少なくとも1日に6mg以上。

     ルテインを含むほうれん草でも60-80gに相当する。

     食事で毎日摂り続けることは、困難。

     サプリメントでビタミン、ミネラル、ルテインを補給することは、合理的な考え。

     マルチビタミンミネラルに加えて、ルテインや抗酸化作用をさらに強化するビタミン、ミネラル、コエンザイムQ-10を組み合わせて処方した。エビデンスはまだ存在しない。

     体内で抗酸化酵素を構成するミネラルや、植物性の抗酸化物質を配合する、抗酸化フォーミュラを加えている。

     イチョウ葉エキス:血流改善作用、脳への血流を促進し、短期的な記憶の向上の効果も期待。

     体内で抗酸化酵素をつくる材料として、亜鉛、銅、マンガンなどのミネラルも重要。

     コエンザイムQ-10は、加齢とともに体内生産が減少するが、強力な抗酸化作用を有し、細胞のエネルギー産生に不可欠であり、心臓の機能を向上させるアンチエイジングには欠かせない栄養素。

■班変性症に対するサプリメント処方の一例■

量的なものを示し、1日に2-3回に分けて摂取する。

●マルチビタミン・ミネラル13粒あたり

ビタミンA                            3300 IU

βカロテン                            13000 IU

ビタミンC                            890 mg

ビタミンD                            350 IU

ビタミンE                            240 mg

(d-α-トコフェノール)

ビタミンB1                            90 mg

ビタミンB2                            45 mg


ナイアシンアミド       130 mg

ビタミンB6                            90 mg

葉酸                                   700 μg

ビタミンB12                            90 μg

パントテン酸                            260 mg

カルシウム                            70 mg

ヨウ素                                170μg

マグネシウム                            260 mg

亜鉛                                   17 mg

セレン                                130μg

                                       1.7 mg

マンガン                            4.4 mg

クロム                                170μg

シトラスエキス                         88 mg

●抗酸化フォーミュラ 4粒あたり

βカロテン                                          2000 IU

亜鉛                                                 10 mg

セレン                                              75μg

                                                     1 mg

マンガン                                          3 mg

ビルベリーエキス                     200 mg

イチョウエキス                                       120 mg

フランス海岸松樹皮エキス              20 mg

ルチン                                              30 mg

へスペリジン                                          20 mg

ブドウ種子エキス                     60 mg

ルテイン                                          8 mg

リコピン                                          6 mg

ビタミンE                                          60 mg

ビタミンC                                          300 mg

●ビタミンC 4(2.4g)あたり

ビタミンC                            2000 mg

●ビタミンE 1粒(0.58g)あたり

ビタミンE(d-α-トコフェノール)                    268 mg

●コエンザイムQ-10 3(1.3g)あたり

コエンザイムQ-10 90 mg

<実際のサプリメント処方上の注意>

保存方法:              直射日光や高温多湿を避ける。

開封後は密封容器の蓋で、密封して、冷暗所で保管する。

摂取のタイミング:    吸収率の点から考えて、

・ビタミンA,βカロテン、コエンザイムQ-10など脂溶性の栄養素は、食後。

・ビタミンCなどの水溶性の栄養素は、体内に蓄積されないため、1日のうち数回に分けて摂るのが基本。

サプリメント摂取の目安量:それぞれのライフスタイルや体調、治療の場合は、症状にあわせて、調節する。100 kg, 50 kgの体重の人ではおのずと摂取量も調整すべきであろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/食事とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/食事とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P170172  アンチエイジングメニュー〕

20036月号New England Journal of Medicine

              抗酸化物を豊富に含む野菜や果物、大豆製品、多価不飽和脂肪酸が多い魚、一価不飽和脂肪酸が多いオリーブ油やナッツ類「地中海食」を食べている人は、心血管障害で死亡する人が少ない。→ 「日本型食生活」に共通する点が多い。

              魚や野菜・果物・大豆・ごまなど種実を使用し、平均寿命を伸ばす要因。

●アンチエイジングを食事から検討するために、3つの段階がある。●

1)アンチエイジングを傷害する食生活の指標

2)毎日、何をどれだけ食べればよいかの基準を示し、それを実行する。

3)2)をベースにして、アンチエイジングを促す食事や食生活を実践する。

<アンチエイジングを阻害する食生活の背景>

「日本型食生活」は世界一の長寿国・日本を下支えしている。

              → 若い世代に限れば、アンチエイジングを阻害する食事傾向。

・欠食習慣がある人が、20歳代が最も多い。男性46.3%, 女性34.7%.

・野菜を1300g以上食べているのは50歳代以上。

・豆類の摂取量は6歳以下を除き、15-20歳代が少ない。

     50歳以上は魚も1100g(1切れ)以上食べているが、子供や大人は魚離れしている。

食生活の乱れ → 家族の団欒、コミュニケーションの機会減少、必要な栄養素の欠落。

→ 健康長寿延長のリスクとなる。

<アンチエイジングメニュー作成のための指標>

1日に何をどれだけ食べればいいのか」を把握し、自分自身の指標、ガイドラインができる。

     四群点数法:食品80kcalを1点として

食品1(乳、卵)3

2(肉、魚、豆)3

3(野菜、果物、いも)3

4(穀類、油、砂糖)を活動量に応じ、エネルギー所要量が1600kcalでは20点。

     総エネルギー摂取量に占める

脂肪エネルギーが20-25%

飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の摂取比率は3:4:3

コレステロール摂取量が1日あたり300mg

ビタミンC 100mg

ビタミンE 10mg

食物繊維20                                          の所要量が満たされる。

<アンチエイジングメニュー>

     酸化ストレスに対抗する食品と食べ方

抗酸化ビタミン(ビタミンE, C, βカロテン)を一緒にしっかりとること。

→ほとんどの野菜や果物に含まれている。

・その他の抗酸化物質を含む食品も賢く選ぶ。

     色の濃い野菜および渋みや酸味が強いものには抗酸化物質が豊富な可能性が高い。

     緑黄色野菜を中心とする抗酸化物質および食物繊維にダイオキシン類の体内蓄積を軽減させる力が備わっている。

     ビタミンE(トコフェロール類など)やカロテノイド(B-クリプトキサンチン)などの抗酸化物質を食物から十分に摂取している人は、2型糖尿病の発生率が低い。

     食事は一汁三菜

     主食+主菜+副菜+幅々菜+汁をベーシックパターンと考える。

     アンチエイジングに有効な食品成分■

活性酸素に負けない食事と生活

種類                     成分名                                       多く含む食品

ビタミン類              ビタミンE                  魚:うなぎ、めかじき、

野菜:モロヘイヤ・西洋かぼちゃ、

その他:玄米、植物油

          βカロテン                西洋かぼちゃ、春菊、ほうれん草、海苔等

          ビタミンC                菜の花、赤ピーマン、ブロッコリー

          コエンザイムQ         レバー、かつお、いわし、さば、牛肉、豚肉

カロテノイド・            β、α、γ-カロテン              西洋かぼちゃ、春菊、ほうれん草、海苔等

カロテン類              リコピン                     トマト、トマト加工品

キサントフィル類       クリプトキサンチン           みかん

                                          アスタキサンチン              シャケ、ます

                                          カプサンチン                            とうがらし、赤ピーマン

                                          ルテイン                     緑葉野菜

フラボノイド・                            アピゲニン                  パセリ

フラボン類                            ルテオリン                  レモン

フラボノール類                         ケルセチン                  タマネギ

                                          ルチン                                       そば

                                          ケンフェロール                            レモン

フラバノン類                            ヘスぺリジン/ナリンジン    かんきつ類

イソブラボン類                         ゲニステイン                            大豆

                                          ダイゼイン                  大豆

カテキン類                            エピガロカテキンガレート              緑茶

                                          エピガロカテキン                            緑茶

                                          エピカテキン                                          緑茶

アントシアニン類       アントシアニジン              ブルーベリー、赤ワイン、なす

リグナン類                            セサミン/セサモール/セサミノール           ごま

フェニルプロパノイド系     クロロゲン酸                            コーヒー

                                          フェルラ酸/カフェ酸           よもぎ

                                          ジカフェオイルキナ酸       香辛料(オレガノなど)

                                          プロトカテキュ酸              香辛料(オレガノなど)

クルクミノイド                         クルクミン                  ターメリック(ウコン)

ジテルペン系                            ジンゲロール類                            しょうが

サポニン系                            サポニン                     大豆

フェノール系                            フロログルシノール           ひじき

                                          リスベラトロール              赤ワイン

                                          ガンマオリザノール           米ぬか

                                          オイゲノール                            オールスパイス・クローブ

イオウ化合物                            アリシン                     ユリ科ネギ属の野菜(にんにくなど)

                                          ジアリルジサルファイド    ユリ科ネギ属の野菜(にんにくなど)

                                          ジアリルトリサルファイド           ユリ科ネギ属の野菜(にんにくなど)

                                          アルキルイソチアシネート類        アブラナ科の野菜(大根など)

カプサイシノイド       カプサイシン                            とうがらし

     アンチエイジングメニューのすすめ■

●乳・乳製品:              牛乳一本とヨーグルト 1/

●主食:                            未精製の穀物(玄米、胚芽米、ライ麦パン、全粒粉パスタなど)

●主菜(メインディッシュ)/日:       肉料理(赤身肉少量)、

豆料理(納豆や豆腐など)

魚料理(魚切身1切れ)

1/ 主菜はここから選ぶ

●イモ類:              1日に1回は食べたい。

●野菜・きのこ・海苔:緑黄色野菜120g、淡色野菜230g/

●果物:200g/日、みかん2個、りんご小1個、抗酸化物豊富。

     油・種実:20歳以上の1日平均摂取量約11g(大さじ1杯弱)

飽和脂肪酸を含むバターやラードを控え、植物油を中心に(オリーブ油・なたね油・ごま油など)

     野菜たっぷりの汁物、汁物がないときは副菜を1品プラス

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/食事とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/食事とアンチエイジング】

・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・

P167169  骨量増加の食事ガイドライン〕

<適正な体重維持>

体重は、骨量を決定する重要な因子である。

→ やせ:低骨量、骨折の危険因子である

栄養バランスのとれた食事により、適正な体重を保つこと。

→ 骨量増加、骨折予防に重要

欧米では、過剰な蛋白質摂取が骨折リスクを高めるという報告。

日本の高齢者では、過剰摂取より摂取不足が問題で、低栄養状態は、骨折リスクを高める。

                            → 適正な蛋白摂取が必要。

<十分なカルシウム摂取>

メタアナリシス(