2006年7月 3日 (月)

【免疫とアンチエイジング医学】

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【免疫とアンチエイジング医学】

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P4749  免疫の理解〕

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<生体防御としての免疫>

皮膚:角質により外界からの細菌、異物が侵入できない。

粘膜(鼻、口、喉、期間、気管支、腸管、尿管、膀胱、尿道)

粘液中のリゾチームなどの殺菌物質や、粘液中に分泌される抗体により、細菌、ウィルスの侵入を防ぐ。

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■「細菌などの異物侵入時における生体防御機構の流れ」

細菌など外界からの異物

皮膚や粘膜のバリアー

<異物の侵入局所>

体液中に存在する活性物質(リゾチーム)や抗体

異物に結合した体液中の補体は活性化され、走化因子となる

走化因子により好中球が異物侵入部位へ集合し貪食する。

異物とT細胞の接触により走化因子が産生されマクロファージが集合し貪食する。

<リンパ節>

抗体や感作リンパ球産生による免疫応答の成立

<異物の存在部位>

免疫による生体防御の発現

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好中球:

細菌を捕らえた好中球は:活性酸素種(過酸化水素(H2O2)、スーパーオキシド(O2-)

好中球内のリソソームの顆粒に存在する蛋白分解酵素

好中球の食作用は:殺菌や一部の真菌に限定。

マクロファージの食作用は:相手を選ばずどんな異物も取り込む。

マクロファージの異物処理には:リンパ球(T細胞)の関与を必要。

マクロファージに貪食された菌の一部は、リンパ球(T細胞)に結合するとリンパ球は活性化され、リンパ球よりリンホカインが産生される。

リンホカインのマクロファージ活性化因子はマクロファージの殺菌力を高める。

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<免疫担当細胞とそれぞれの役割>

骨髄にある多能性幹細胞 → 赤血球、白血球、血小板がつくられる。

免疫にかかわる細胞:白血球分画中のリンパ球(Tリンパ球(T細胞)Bリンパ球(B細胞)

     Tリンパ球

分裂・分化して感作リンパ球(キラーT細胞)になり、異物を排除。→ 細胞性免疫

     Bリンパ球

分裂・分化して抗体産生細胞(形質細胞)になり、抗体を産生して異物を排除。→ 液性免疫

Tリンパ球は、機能別に、3つに分類

1)リンホカイン産生T細胞

2)調節性Tリンパ球

3)感作リンパ球

◆リンホカイン産生T細胞 → マクロファージのところのTリンパ球

◆調節性Tリンパ球:ヘルパー(CD4+)T細胞やサプレッサー(CD8+)T細胞 

→ B細胞の抗体産生を制御する。

ヘルパー(CD4+)T細胞:B細胞に対して抗体産生促進に働く

サプレッサー(CD8+)T細胞:抗体産生抑制に働く。

◆ヘルパー(CD4+)T細胞は、2つのサブセットが存在。

Th1細胞:IFN-γ、IL-2を産生して、細胞性免疫を活性化する。

Th2細胞:インターロイキン(interleukin; IL)-4IL-5を産生して、液性免疫を亢進させる。

     感作リンパ球:外来の異物など非自己の抗原刺激によって分裂・分化してできるリンパ球。同じ非自己の抗原をもつ細胞(標的細胞)と接触すると結合し、その細胞を破壊する。

     B細胞:体内に侵入した異物による抗原刺激により分裂・分化し、成熟B細胞である抗体産生細胞(形質細胞)になり、抗体を産生する。

成熟B細胞表面の免疫グルブリン(Ig)分子の違いにより5つに分類される。

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<幹細胞からの各細胞への分化>

幹細胞 → リンパ球前駆細胞 → IL-1, IL-2により → T細胞

幹細胞 → リンパ球前駆細胞 → IL-4, IL-5, IL-6により →B細胞(IgG2a, IgG1, IgE)

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→EPOにより→赤血球

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→GM-CSFにより→好中球

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→マクロファージ

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→単球

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→IL-5により→好酸球

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→IL-10により→肥満細胞

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→好塩基球

幹細胞 → IL-3により→ CFU-GEM → IL-3により→TPOにより→血小板

EPO:エリスロポイエチン、TPO:トロンボポイエチン

GM-CSF:顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子

G:顆粒球、E:赤血球、M:巨核球

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P5051  免疫バランスとアンチエイジング医学〕

<加齢と免疫機能>

加齢により:

容易に感染しやすくなる。

単なる風邪も風邪で終わらず肺炎へと進展し、命取りになりかねない。

高齢者は、がんにも罹患しやすくなる。

生体防御機能の低下に起因

免疫機能の低下

■免疫機能:20歳を過ぎる頃より低下し始め、40歳時には最大時の50%にまで減じ70歳を過ぎると、最大時の10%にまで減少する。

■末梢血液中のTリンパ球とBリンパ球の割合=8:1~2

Tリンパ球とBリンパ球の変動と免疫バランス>

Tリンパ球:細胞性免疫を司り、細菌などの抗原刺激によって感作リンパ球(キラーT細胞)

Tリンパ球の総数:20歳を過ぎると減少し始め、その後50歳までは横ばい60歳代で再び減少し始め、その後は、年を重ねるごとに減少。

Tリンパ球:  ヘルパー(CD4+)T細胞やサプレッサー(CD8+)T細胞 

加齢に伴い、同じ割合で減少するのではない。

サプレッサーT細胞がより多く減少。

              相対的に、ヘルパーT細胞が優位になる。

ヘルパー(CD4+)T細胞やサプレッサー(CD8+)T細胞のバランスがくずれてくる。

                           

              自己の構成成分に対しても免疫応答し、自己に対して抗体を産生させる。

                           

              高齢者において、自己抗体が検出される。

Bリンパ球:抗原刺激をうけると、ヘルパーT細胞(CD4+)細胞が産生するサイトカインにより分裂・分化して、抗体産生細胞(形質細胞)になる。

Bリンパ球の総数:20歳を過ぎると減少し始め、その後60歳までは維持されるが70歳以降はだんだん減少していく。

IL-2: ヘルパーT(CD4+)細胞のなかのTh1細胞から産生されるオートクリンTリンパ球増殖因子で、細胞自ら分泌して細胞表面の受容体に作用する増殖因子である。

IL-2は、Th2細胞から産生されるIL-4, IL-5, IL-6, IL-10などどともに、Bリンパ球の形質細胞への分化させる働きがある。

加齢とともに:IL-2も減少する。

リンパ球の量、質ともに、青年期、老年期を境に低下し、免疫バランスは崩れる。

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P5253  免疫と内分泌システム相関〕

<神経、内分泌、免疫関連>

神経系、内分泌系、免疫系は、互いに影響を与えあってホメオスタシスの維持に働いている。

抗原刺激やTNFIL-1βなどのサイトカイン 

神経系にはたらき、 

視床下部・下垂体・副腎系(hypothalamo-pituitary adrenal axis; HPA axis)を活性化させる。

HPA axis活性化:産生される副腎皮質ホルモンのコルチゾル(cortisol)は、免疫系に影響を与える(薬理作用としては、免疫系を抑制するが、生理的なレベルでは、ときに免疫賦活作用をしめす)。

■下垂体ホルモン:免疫系に影響を与える。成長ホルモン(growth hormone; GH)prolactin (PRL)の分泌低下 → 抗体産生や細胞性免疫を抑制。

■神経系:末梢に分布する神経終末より直接免疫系に影響を与える。

交感神経節後繊維は胸腺やリンパ節などに広く分布して、免疫系の細胞を標的とする。

■皮膚など:知覚神経終末が、肥満細胞、T細胞、マクロファージの周囲にみられる。

リンパ球、マクロファージなどの免疫系の細胞がadrenocorticotropic hormone (ACTH)endorphinGHなどのペプチドホルモンを産生し、ペプチドや神経伝達物質に対する受容体を発現している。

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<神経・内分泌・免疫関連とエイジング>

<免疫系の老化>

免疫応答には:

1)異物としての病原体を認識する過程

2)それに対し反応する過程、の2段階があり、非特異的、特異的な免疫応答とよばれる。

非特異的免疫応答:単球、マクロファージ、多核球、natural killer(NK)細胞、

TNFα、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカイン→局所の炎症を増殖させる。

抗原提示細胞として、特異的免疫応答を賦活し、神経系へシグナルを伝える。

特異的免疫応答:T細胞、B細胞

              T helper (Th)細胞:2種類ある。

Th1細胞:IL-2IFN-γなどを産生して遅延型過敏反応に関与。

Th2細胞:IL-4, 5, 6, 9, 10, 13などを産生して抗体産生や好酸球増多に関与。

■免疫系の老化:

非特異的免疫応答として:貪食能の低下

ラジカルの産生低下

炎症性サイトカインの産生増加

特異的免疫応答として:T細胞・B細胞の増殖の低下

                                                        ナイーブ(Naïve)CD4+細胞の減少

Th1からTh2へのシフト

Th1の減弱には:老化に伴う交感神経機能の低下も関与。

■長寿者:T細胞・B細胞、ナイーブCD4+細胞、NK細胞が優位に多いという。

<内分泌系の老化>

老化により:下垂体ホルモンは増加(ただしGHは減少)

                            末梢で産生されるホルモンは減少。

HPA axis: 血中のACTHレベルは増加。

              コルチゾル産生は低下。他のステロイドに比べ、コルチゾルは高いレベルを保つ。

<内分泌系の老化が免疫系に与える影響>

免疫系を賦活するもの:甲状腺ホルモン(老化で変化しない)

                                          PRL(老化で減少)

                                          GH(老化で減少)

免疫系を抑制するもの:コルチゾル(老化により減少)

                                          dehydroepiandrosterone (DHEA)(老化により減少)

免疫への影響が不定のもの:エストロゲン(老化により減少)

テストステロン(老化により減少)

プロゲステロン(老化により減少)

     エストロゲン、テストステロン、DHEAなど、炎症性サイトカインの産生を抑制するものが、老化により減少するので、TNFIL-6などの血中レベルが増加。

<免疫系の老化が内分泌系に与える影響>

血中でのTNFIL-6などの増加:さまざまな全身的影響をもたらす。

              IL-1β、TNFIL-6の末梢組織における含量が若年者に比べ増加。

TNF IL-1βは、副腎においてステロイド産生を抑制。

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<免疫系と内分泌系のシステム相関とその老化>

     免疫系と神経内分泌系がリガンドと受容体を共有することにより影響を与え合うことを模式的にしめす。

免疫系                                                             神経・内分泌系


ペプチドホルモン

ペプチド(神経伝達物質)

サイトカイン

受容体

     内分泌系と免疫系の老化の悪循環を示す模式図

紫外線、遺伝子変化

慢性感染、遺伝的素因など

内分泌系の老化


血中コルチゾル↑、DHEA                        ステロイド合成の抑制

                                                       

Th1からTh2へのシフトなど                       IL-1β、TNFα↑

                                          

内分泌系の老化

紫外線、遺伝子変化

慢性感染、遺伝的素因など

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P5456  免疫と神経系相関〕

神経系と免疫系は、外界内界のインターフェイスであり、環境の摂動を感知する情報システムである。

精神的なストレスや騒音などを物理的ストレッサー:神経系に作用。

感染などの生物学的ストレッサー                            免疫系に作用

環境汚染物質や薬剤などの化学的ストレッサー       免疫系に作用。

<神経系の免疫への影響>

視床下部CRH → 下垂体ACTH → 副腎(HPA)の内分泌系を経由したコルチコステロイドによる免疫制御。

ステロイド:       好中球の増加、

好酸球や単球の減少、

CD4/CD8比の低下、

Th1Th2への偏移、

アポトーシス誘導など、免疫系にさまざまな影響を与える。

視床下部室傍核から分泌されたCRHは、

脳幹部青班核ノルアドレナリン神経を賦活化し、

大内臓神経から副腎髄質へと伝達され、

カテコールアミンを分泌し、ストレス反応を起こす。

■脾臓、胸腺、リンパ節:交感神経の支配下にあり、ストレス時にはIL-6産生を増強し、

IL-6は視床下部、下垂体、副腎のいずれのレベルにおいても刺激的に作用する。

     動物実験:交感神経切断が免疫能の低下をもたらす。

→ 老化に伴う免疫能の低下の一因に交感神経系の障害の関与が示唆。

     Monoamine oxidase (MAO) inhibitorを老化マウスに投与

→ノルアドレナリン神経の回復とともに、

IL-2産生やNK細胞活性などの免疫能が回復。

老化に伴う免疫能低下対策として注目。

     末梢の免疫系:サブスタンスPなどを介し、末梢神経系の支配をうけており、

神経系は、炎症細胞遊走、細胞増殖、サイトカイン産生 → 炎症初期病変に関与。

<脳内サイトカイン>

神経系も多種類のサイトカインを産生する。サイトカインは、神経系と免疫系に共通する刺激伝達物質である。

ニューロンは、情報伝達物質として神経伝達物質や神経ペプチドを産生するが、内皮細胞、グリア、アストロサイトなどの非ニューロン細胞は多種多様のサイトカインを産生する。

■遺伝子導入マウスやノックアウトマウスを用いた研究:

EGFbFGFNGF、ニューロトロフィン、ciliary neurotorophic factor(CNTF)などのサイトカインが、神経系の発生に重要。

■ニューロカイン:CNTFCDF/LIF、オンコスタチンMGPAなど

→末梢神経系細胞の分化誘導に関与。

■脳内で産生された、あるいは他の部位で産生された脳内に運ばれたIL-1IL-3IL-6IFNTNFαなどのサイトカインは、中枢性急性期反応を発現させる。

IL-1              ニューロンの生死に関与。

食欲低下(摂食抑制)、発熱、傾眠(徐派睡眠)などの行動に影響。

IL-6などの慢性的増量:学習能力や記憶の低下との関連。

●αFGFやβFGFの長期投与:易老化マウス(SAM)の学習能低下を抑制。

■脳内で産生されたIL-1βやIFNα:局所のPGE2産生やオピオイド受容体を介して室傍核ニューロンを刺激し、脾臓交感神経を介したノルアドレナリン分泌により、細胞性免疫やNK活性の抑制をもたらす。

NK活性抑制:エンドルフィンの視索前野投与により再現できることから、オピオイド依存性鎮痛に伴ううつ状態の一部は、これらのサイトカインの中枢での作用と考えられた。

<神経疾患と免疫>

■慢性ストレス:免疫能の低下をもたらす。感染症、悪性腫瘍の発生、自己免疫疾患などの原因や誘引となる。

高齢者においての免疫機能低下:免疫能の低下は、身体機能や精神機能の低下にあいまって、老年症候群を誘発、あるいは重症化する。

HPA軸の障害が関与している。

     シェーグレン症候群、線維筋痛症、慢性疲労症候群、喘息、アトピーなどの免疫疾患において、HPA軸の障害が報告されている。

重症筋無力症:アセチルコリンレセプター抗体

多発性硬化症:ミエリン塩基性蛋白、プロテオリピッド蛋白を認識するT細胞とTNFαやIFNγなどのサイトカインが病因的役割を担っている。

神経ベーチェット病や中枢神経ループス:髄液中のIL-6濃度が増加

アルツハイマー病やHIV脳症:IL-1IL-6TNFαなどの炎症性サイトカインが脳神経変性に関与。

ベーチェット病やアルツハイマー病:抗サイトカイン療法の可能性。

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