2006年7月 3日 (月)

【フリーラジカルとアンチエイジング医学】

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【フリーラジカルとアンチエイジング医学】

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P3941  フリーラジカルの理解〕

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●フリーラジカル、活性酸素、酸化ストレスとは

フリーラジカル:原子は原子核を中心に、2個の電子が対になって存在し、まれに、対になっていない電子(不対電子)をもつ、分子や原子をという。

広義に、構造式で右肩に示した不対電子をもつものだけが、フリーラジカルである。

例)過酸化水素は活性酸素ではあるが、不対電子をもたないためフリーラジカルではない。

<フリーラジカルと活性酸素>

酸素(O2)、一酸化窒素(NO)、アルコキシルラジカル(LO)、スーパーオキシド(O2・-)、ヒドロキシラジカル(HO・)、一重項酸素(1O2)、過酸化水素(H2O2)

フリーラジカル:酸素(O2)、一酸化窒素(NO)、アルコキシルラジカル(LO)

活性酸素:一重項酸素(1O2)、過酸化水素(H2O2)

フリーラジカルと活性酸素のどちらにも入るもの:酸素(O2)、一酸化窒素(NO)、アルコキシルラジカル(LO)

<酸化ストレス負荷の状態とは>

活性酸素の過剰な生成や、あってはならない場所での生成は、その局所での生成と消去の平衡関係を崩すこととなり、活性酸素、フリーラジカルは生体の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃して、各種疾患を誘発する。

<酸化ストレスとは>

「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、前者に傾き、生体にとって、好ましくない状態」と定義される。

「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、前者に傾いた状態」

フリーラジカルの生成

フリーラジカルを生成する外部環境因子:

大気汚染物質、放射線、ある種の薬剤、紫外線、タバコ

これらの環境因子に接することにより、フリーラジカルを生体内にとりこむことになる。

生体内でのフリーラジカルの発生:

ミトコンドリア電子伝達系、ミクロソーム電子伝達系内のある種の酵素、オキシダーゼ系酵素、鉄含有蛋白質など、酵素に由来するフリーラジカルの生成系。

炎症、虚血性疾患などとの関連では、好中球をはじめとする食細胞が注目される。

好中球を含む食細胞:

細菌、種々の粒子状、または可溶性刺激物により細胞膜に存在するNADPH oxidaseが活性化されると、爆発的な酸素消費と相当するスーパーオキシド産生が生じる。

→ 殺菌作用、抗腫瘍効果の主たるメディエイターとして、生体防御の役割。

好中球より産生される過剰な活性酸素:虚血再灌流障害、自己免疫疾患などの炎症反応において、組織障害性に働く。

生じたスーパーオキシド:酵素的、非酵素的に還元を受け、より反応性の高い活性酸素種(過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、次亜塩素酸)となる。

最近の知見:

血管内皮、平滑筋細胞、消化管粘膜上皮からも活性酸素が産生される。

非貪食細胞に発現する活性酸素産生酵素gp91-phoxの6つのホモログが同定され、NADPH oxidase (Nox)/Dual oxidase (Duox)ファミリーとして整理された。

 消化管粘膜上皮では、消化管粘膜固有の自然免疫反応を制御する新たな機構

 toll-like receptor (TLR)ファミリーを介するNox1の活性化と、活性酸素依存性にnuclear factor-κB(NF-κB)の活性化経路が明らかとなり、炎症・活性酸素によるがん発症を結びつける新たな経路。

フリーラジカルによる障害とその防御

多くの生体分子を標的とする。

脂質、核酸、アミノ酸、炭水化物、種々の生物学的活性物質。

細胞膜の脂質中に局在する高度不飽和脂肪酸は、活性酸素により攻撃され、脂質過酸化連鎖反応を介して過酸化脂質を生成する。

連鎖的脂質過酸化反応:膜構造の破壊だけでなく、蛋白の酵素作用や受容体機能も大きく障害をこうむる。生体膜すべてに共通。

神経細胞→細胞壊死、アポトーシス、リポフスチンの沈着が生じる。

ヒドロキシラジカルや鉄―酵素錯体などが、フリーラジカル連鎖反応を開始させると推定。

スーパーオキシドはそれ自体よりも、これら活性種の前駆体として重要。

活性酸素種・フリーラジカルの消去剤:

脂質過酸化反応の開始を予防することができる可能性がある(予防的抗酸化剤)

ラジカル捕捉型抗酸化剤:α―トコフェロール

 不飽和脂肪酸より、水素引き抜き反応が生じると、ペルオキオキシラジカルを担体として脂質過酸化反応は連鎖的に進行し、脂質過酸化物が生成する。このペルオキシラジカルを捕らえ、連鎖反応を断ち切るもの。

過酸化脂質消去剤:

過酸化脂質をアルコールなどに還元するものも、生体内で抗酸化作用を発揮する可能性がある。

また、酸化的な損傷を受けた脂質、蛋白質、DNAなどを修復・再生する機構も、フリーラジカルに対する最終的な防御機構。

P4243  フリーラジカルとエイジング〕

縦断的研究:エイジングに関与する種々の因子の解析が可能

実験動物モデル

senescence accelerated mouse (SAM):老化モデル動物として開発された純系マウス

老化が早く進む系統:P系統

正常な老化を示す系統:R系統

P系、R系は、寿命の長さ、エイジング速度の異なる同種生物で、このようなSAMを比較して、縦断的に研究したり、介入試験を行うことにより、エイジングの研究をする。

リポフスチン:老化に伴って増加し、老化色素として有名。非分裂細胞を多く含む脳、心筋などの組織で老化に伴って上昇してくる。

→ 過酸化脂質と変性リポ蛋白質の複合体である。

■リポフスチンの老化に伴う増加:脂質や蛋白質がフリーラジカルによって酸化的障害を受けていることを示している。

■老化促進マウスSAMを用いた縦断的研究:

過酸化脂質の上昇が老化症状の発現に先行する。フリーラジカルによる脂質過酸化反応が直接的に老化に関与する。

老化マウスSAMP1系では、対照マウスSAMR1系に比較して、老化症状のみられない生後2-3ヶ月後に血清ならびに肝臓の過酸化脂質が有意に上昇し、大脳では過酸化脂質が上昇。

過酸化脂質をthiobarbituric acid (TBA)反応物質として測定しているが、HPLC-化学発光法で測定したcholesterolester hydroperoxideもP系マウス血清中で高値であった。

肉眼的な老化が観察されないような時点での過酸化物の変化などは、老化のメカニズムと密接な関係があると考えられる。

エイジングによる核酸や蛋白質の酸化的障害も増加する。

ラット脳組織中8-hydroxydeoxyguanosine (8-OdG)量は30ヶ月高齢ラットで上昇し、食餌制限によりその上昇が遅延した。

核内DNAに比較してミトコンドリアDNAは定常状態で8-OdGの生成が多い。8000塩基に1塩基が障害を受けている。ミトコンドリアからの8-OdGは加齢に伴い急激に上昇。

ミトコンドリアは細胞内の活性酸素生成源であり、エイジングに伴い8-OHdGが増加することは、ミトコンドリアの活性酸素消去抗酸化機構が十分でないことを意味する。

エイジングのミトコンドリア説。

P4446  抗酸化とアンチエイジング医学〕

〔抗酸化機構と老化〕

<生体の酸化ストレスに対する防御機構>

光、放射線、大気汚染、喫煙、ショック、虚血再灌流、金属、炎症、過酸化物

活性酸素、フリーラジカルの発生

標的分子(脂質、蛋白、酵素、核酸)への攻撃

生体膜、組織の損傷

生活習慣病、発癌、老化

<酸化ストレスに対する生体の抗酸化防御機構は、3段階。>

1段階:活性酸素そのものの発生を抑制する。<予防型抗酸化物>

スーパーオキシドに対するsuperoxide dismutase (SOD)

過酸化水素に対するカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ

金属安定化蛋白

2段階:発生した活性酸素を捕捉し、安定化させる。<ラジカル捕捉型抗酸化物>

 水系ではビタミンC

 膜に発生した脂質ラジカルにはビタミンEやユビキノール(還元型コエンザイムQ-10)

 カロテノイド

 ビリルビン

3段階:酸化的損傷を受けた脂質、蛋白質、DNAなどを修復・再生する機構である。<修復、再生型抗酸化物>

 ホスホリパーゼ

プロテアーゼ

DNA修復酵素

トランスフェラーゼ

SODと老化との関連(縦断的、横断的研究)

一般的には、老化に伴い、おおきな変化はないとされている。

酸化ストレスの原因としては、消去機構の低下<産生系の亢進状態、にある。

SAMマウスにおいて、P系とR系との間でSOD活性に差はないか、P系マウスで肝臓組織中SOD活性が高い。

SAMマウス肝臓において、ミトコンドリアにおけるSODCuZnSODであり、P系マウスでのSOD活性がR系の1/2に低下しており、mRNA発現は両マウスに差はない。

細胞質で合成されたCuZnSODがミトコンドリアに輸送される機構が、P系で傷害されることを示し、ミトコンドリアに酸化ストレス負荷となっている。

カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼに関して、老化に特徴的変化なし。

〔抗酸化物質による介入試験〕

CulsterSOD, ビタミンE、尿酸、セルロプラスミンなどの、抗酸化物と、各種哺乳動物の最大潜在寿命が正比例する。→ 抗酸化物に老化防止の期待。

SAMを用いた介入試験

漢方薬(TJ-960, DX-9386)beta CATECHIN, ESRスピントラップ剤であるPBN(N-tert-α-phenyl-butylnitrone)などが、検討された。

DX-9386は伝統的中国生薬、SAM-P8系に投与

 → 記憶障害の改善に有効。学習能力に影響を与えず。

増加した血清中、肝組織中の過酸化脂質を減少させた。

TJ-960はSAMP系マウスの大脳皮質のNO合成酵素活性が増加するのを抑制することにより老化抑制に関与。

PBNは、生体内で短寿命のフリーラジカルを捕らえて長寿命のラジカルに変換する。

3ヶ月齢SAMP系マウスに投与すると、寿命が延長する。

イチョウ葉抽出物(Egb761):中枢神経細胞保護作用

薬理学的解析では、

フリーラジカル消去剤としての抗酸化能

血管壁への作用

血小板活性化因子(platlet activating factor, PAF)への抑制作用

血流や循環に対する影響

神経伝達物質への影響

多くの脳血管障害などを訴える患者、とくに、耳鳴り、めまい、末梢循環障害など、に有効性がある。

ドイツ、フランスにおいての臨床試験で、大脳不全に伴う諸症状に対して有効。

対象疾患:脳梗塞に伴う脳虚血による神経症状、閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行症。

ヒト二重盲目試験(プラセボを対象)

記憶障害に対するもの5件、閉塞性動脈硬化症1件、耳鳴り1件、急性脳梗塞1件、痴呆症2件、健常人1件。

痴呆症状に関する2件の大規模比較試験の結果

Kanowski

216例のアルツハイマー型痴呆、多発脳梗塞型痴呆に対して、Egb761(240mg/)、プラセボの投与を24週間行い、3個の客観的試験により評価。

治療に良好な反応を示した症例は、EGB761投与群に有意に高かった。

LeBars

309例のアルツハイマー型痴呆、多発脳梗塞型痴呆に対して、Egb761(120mg/)の投与を52週間行い、二重盲目試験で比較し、有意に改善。

両試験とも、重篤な副作用、症状悪化などなく、本剤の安全性をしめしている。

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