2006年7月 3日 (月)

新しいアンチエイジング医学の療法―キレーション

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【アンチエイジング医学の展望】

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P282284  新しいアンチエイジング医学の療法―キレーション〕

キレーション治療:キレート結合により金属を体外へ排泄させる治療法。

キレート剤:

鉛中毒のethylene diamine tetra acetic acid (EDTA)

水銀やヒ素中毒の対するdimercaptosuccinic acid (DMSA)

dimercaptopropionylsulfonate (DMPS)

銅に対するPenicillamine

鉄を除去するDeferokisaminn mesilate

動脈硬化治療効果や有害金属除去によるさまざまな変性疾患の予防と治療効果が期待できる。

<歴史>

EDTAキレーション治療は、1940年代から重金属、なかでも鉛中毒患者の治療薬として使用されていた。

     鉛中毒患者の治療を行うと動脈硬化による症状が改善することが報告。

     1950年代以降、心臓疾患を中心とした動脈硬化性疾患に対する非侵襲的治療方法として米国を中心に使用されている。

     心臓や血管の病変治療効果だけでなく、黄斑変性症など一部の眼科疾患に対しても有効な治療方法であることが報告されている。

<内容と作用>

     EDTAキレーション治療:Na2EDTAをビタミン、ミネラルとともに点滴

     投与方法は、American Academy of Advancement in Medicine (ACAM)が提供。

     Na2EDTA3g500mlの溶液として3時間かけて投与するものと、半量の1.5g1時間30分で点滴するものがある。

     これらを週に1から3回のペースで20から30回繰り返し行う。

     作用メカニズム:EDTAのもつ強い抗酸化力である。

     食品の酸化防止剤としてEDTAがひろく使用されている。点滴投与することで、体内の活性酸素による酸化ストレスを抑制することが動脈硬化治療の主たる作用

     血中の遊離カルシウムの排泄を促すことで、体内カルシウムの分布に変化を与えることが指摘されている。

     加齢とともに骨に含まれるカルシウム濃度が低下する一方、動脈壁や関節軟骨などにカルシウムの異常沈着が生じる。EDTAは遊離カルシウムの濃度を下げることで、骨以外へのカルシウム沈着を抑制し、骨自身へのカルシウム沈着を促進すると考えられる。

<治療効果>

●動脈硬化性疾患

     冠状動脈移植術が必要といわれていた65名の患者にキレーション治療を行ったところ58名の患者で手術が不要になった。

     閉塞性動脈硬化症では、下肢切断手術予定患者27名にキレーション治療を行い、24名に下肢の血流改善がみられ、手術が不要になった。

     20回以上のキレーション治療を受けた26名の患者の脈波伝播速度(pulse wave velocity; PWV)は数値が低下する傾向にある。→ キレーション治療が動脈硬化に対して有効な治療であることを示唆している。

●重金属障害

     環境汚染が原因の重金属障害。

     体内に鉛の蓄積が見られる患者でかつ腎機能不全を伴っている場合、EDTAキレーション治療を行うことで、腎機能の悪化を防ぐことが可能とされている。

     EDTAにより鉛を体外への排泄を促進したことで、活性酸素を減少させ、尿細管壊死を防ぐことができるためと推測。

     鉛よりも3価鉄の体外排泄の促進が腎機能障害の進行を抑制したともいわれている。

     キレーション治療により毛髪中有害金属の含有量は顕著に減少する。

     キレーション治療が老人性痴呆の予防効果があるとされる理由は、アルミニウムなどの重金属による弊害を減らすことができるためと考えられる。

<副作用>

     EDTA投与による致命的、ないしは重篤な副作用の報告は、ACAMの基準ができてからは報告されていない。

     まれに、発疹、虚脱感、を訴える例もあるが、一時的である。

     若年者では、点滴部位の血管痛を訴えることもある。

     キレーション治療には、血糖効果作用もあるので、インスリンなどの低血糖を引き起こす薬剤との併用には注意が必要。

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【アンチエイジング・インターベンション/肥満とアンチエイジング】

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【アンチエイジング・インターベンション/肥満とアンチエイジング】

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P233238  肥満とアンチエイジング〕

<肥満と肥満症>

肥満:医学的には「脂肪組織が過剰に蓄積した」身体の状態を示す。

「過体重」とは異なり、「過脂肪」

・肥満症:肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態(疾患単位)

・肥満の判定:身長と体重のみから算出できる体格指数であるBody Mass Index (BMI)

MBI = 体重[kg]÷(身長[m])2

・日本では、BMI25.0以上を肥満としている。

・筋肉質の者や骨格の太い者などでは、BMIが高くても脂肪量を反映していないこともある。

・実際の体脂肪率は、低い可能性がある。

     若年女性では、脂肪量に比して、筋肉量、骨量が少なくて、BMIが低値でも、体脂肪率が高いというケースもある。

     肥満の判定は「量」で行うが、肥満症の診断は「質」をみる。

医学的に問題となる肥満は、内臓脂肪が多く蓄積してくる内臓脂肪型肥満。

<内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満>

     CTスキャンを用いて腹部の脂肪組織検討

     同じ体重、腹囲のものでも、皮下脂肪が多いタイプと腹腔内の内臓周囲に多くの脂肪が蓄積しているタイプがある。

     内臓脂肪の多いタイプの肥満者:高血圧、耐糖能異常、高脂血症の発症率が高まっている。

     内臓脂肪型肥満:生活習慣病のハイリスク肥満

     日本肥満学会は、治療すべき肥満は、皮下脂肪型肥満よりも、内臓脂肪型肥満である。

内臓脂肪型肥満の診断:臍の高さでの腹囲が男性で85cm女性で90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満の可能性が高い。

・臍部レベルでのCT画像で内蔵脂肪面積が100cm2以上あれば、内臓脂肪型肥満と診断。

<内臓脂肪とアディポサイトカイン>

     脂肪細胞から生理活性物質を分泌し、体内の複雑な代謝機構をコントロールしている人体最大の内分泌臓器である。

     脂肪細胞から分泌される物質を総称してアディポサイトカインとよぶ。

     動脈硬化や糖尿病を悪化させるプラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(plasminogen activator inhibitor – 1; PAI-1)、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(heparin binding epidermal growth factor; HBEGF)や、腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor – α; TNF-α)などの「悪玉」アディポサイトカインがある。

     動脈硬化や糖尿病の伸展を抑える善玉アディポサイトカインのアディポネクチンという物質も、脂肪細胞から分泌。

     内臓脂肪が過剰に肥大・蓄積してくると、善玉、悪玉アディポサイトカインの分泌バランスが狂い、動脈硬化が進展する。

<肥満と寿命、老化との関係>

     米国では、肥満度が+30%を超えると死亡率は著名に上昇する。

     75万人を対象にした米国のデータ:BMI>25の肥満者の死亡原因:

心血管障害、糖尿病などの生活習慣病。

     心疾患、高血圧、肝障害、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の合併が、肥満と関連。

     女性肥満では、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌の発症率が3倍以上に高まる。

     高度な肥満は、病気になりやすく、死亡率も高い。

     内臓脂肪蓄積が過剰になると、アディポサイトカインの分泌異常により、インスリン抵抗性(血糖を調節するホルモンであるインスリンの末梢組織での効きが悪くなり、血中インスリンレベルが上がってくる状態で、脂肪組織の増大を招く)

     アディポサイトカインの分泌異常は、免疫系にも影響をきたし、癌の発生の原因になることもある。

     女性の閉経(menopause)後でのエストロゲンの低下、男性での加齢に伴う副腎皮質由来アンドロゲンであるdehydroandrosterone (DHEA)、および、その硫酸抱合体(DHEA-s)の低下(adrenopause)が中高年の肥満に関与。

     過食、運動不足、老化現象に伴うホルモンレベルの変化が肥満を助長。

     インスリン抵抗性を下げる働きのあるIGF-1, テストステロン、DHEAなどのホルモンは加齢とともに減少し、反対に上げる作用をもつコルチゾルは加齢とともに増加し、肥満を助長

<美容ダイエットとアンチエイジング>

     セルライト:局所的に代謝の悪化下皮下脂肪がつくりだす皮膚表面の凹凸。

     日本人成人女性の80%にセルライトが認められる。

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【アンチエイジング・インターベンション/美容と化粧】

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【アンチエイジング・インターベンション/美容と化粧】

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P229232  美容と化粧〕

シミ、シワの治療

<抗加齢美容治療:シミ治療>

     治療方法の選択

     シミを主訴に受診する患者の臨床診断:

     老人性色素斑、肝斑、雀卵斑、脂漏性角化症、太田母斑、日光角化症、炎症性色素沈着など。

     レーザー治療が適応となる

     老人性色素斑、脂漏性角化症、太田母斑など。

     使用するレーザー:メラニンを標的とするQスイッチおよびノーマルパルスのルビーレーザー(波長694nm)Qスイッチアレキサンドライトレーザー(波長755nm)半波長QスイッチNd: YAGレーザー(波長532nm)

     治療後は痂皮形成を生じ、副作用として炎症後色素沈着を起こす可能性が高い。

     老人性色素斑は、1回のレーザー治療で効果が得られることが多いが、適応でない肝斑にレーザー治療を行うと術前より色素が増強したり、炎症後色素沈着が長期に残存したり、高頻度に再発する。

→ 肝斑のレーザー治療は禁忌。

  ・前癌状態である日光角化症

     ケミカルピーリング(chemical peelingCP)とは

     皮膚に化学物質を塗布し、表皮または真皮を剥離させ、その再生する自然治癒過程を利用し、主に若返り目的(rejuvenation)に始められた剥皮術

     最も使用されているグルコール酸によるCPは、老人性色素斑に対して補助的な治療で、皮膚の色調、質感を改善するrejuvenationには有効であるが、厚い角層を伴った色素斑を除去することは難しい。

     トリクロロ酢酸(TCA)を色素部に塗布するスポットピーリング

<抗加齢美容治療:シワ治療>

     治療方法の選択

     シワに対する治療:前頭部、頬部、頚部に対するフェイスリフト、眼窩部に対する除皺術やBaggy eyeに対する脂肪除去などの手術方法であった。

     局所注入法:コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸製剤、および、自家脂肪。

→ 眉間、目じり、鼻唇溝の凹部への充填としてよい適応。

     Botox, Dysportが本邦で使用されている。

     フェノールに変わりグリコール酸などのα―ハイドロキシ酸(alpha hydroxyl acid; AHA)を使用した浅いケミカルピーリングによるシワ治療が欧米で普及

     グリコール酸ピーリングの第一適応が、にきび。

     ピーリングを継続することにより、メラニン産生能の減少、コラーゲンの増加が認められskin rejuvenationにも有効。

     レーザーを用いたシワ治療laser resurfacingも顔面の若返り術として行われる。

     non-ablativeレーザーでもシワの改善が30%に見られる。

     トレチノイン酸、α―ハイドロキシ酸などの外用剤もシワ治療に用いられている。

     レーザーおよびその他の器機治療

laser resurfacing

ウルトラパルス、スパーパルスシステムの炭酸ガスレーザーやErYAGレーザー熱により水分が蒸発することを利用し、皮膚のコラーゲン線維を萎縮させる。

non-ablativeレーザーなど>

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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P225228  成長ホルモン療法とアンチエイジング〕

<成長ホルモン療法の適応疾患>

     1956年、成長ホルモン欠乏性低身長症にGHを使用し有効性を証明した。

     1988年遺伝子組み換えにより作製されたGHが供給される。

     GH分泌不全性低身長症だけではなく、Turner(ターナー)症候群、ならびに、小児慢性腎不全性低身長症、軟骨異栄養症にもGH使用が承認された。

     GHは身長の成長や成熟を促すホルモンにとどまらず、全身のいろいろな代謝に重要な役割を果たす代謝調節ホルモンである。

     代謝面におけるGHの役割は、成人になってから特に大切である。

     GH欠乏症:体組成が変化し、体脂肪量が増加するとともに、除脂肪体重(主として筋肉量)が減少筋力や運動能力が低下し、精神心理的健康感も得られなくなる。

     体脂肪の増加:内臓脂肪の増加であり、インスリン抵抗性、糖尿病、高脂血症、などの病態(内臓脂肪症候群)と密接に関連し、生命予後に深く関わる。

     成人GH欠乏症に対するGH補充療法は、諸外国では広く行われている。

<ソマトポーズsomatopause

     GH分泌は思春期から青年期に最大となり、以後加齢に伴って10歳ごとに約14%ずつ低下。

     GH分泌低下:脈動的GH分泌パルスの振幅と継続時間の減少が主たる原因で、パルス頻度の低下ではない。

     高齢者:全員がGH欠乏症類似の状態になり、この老化に伴うGH/IGF-I系の減弱をソマトポーズという。

     成人GH欠乏症の患者で観察される身体的症候:

老化に伴って出現する諸症候、例えば内臓脂肪蓄積型の肥満、筋肉量の減少と筋力低下、骨塩量の低下と骨粗鬆症など類似している。

     ソマトポーズに対するGH補充療法に期待が寄せられた。

     筋力低下に基づく虚弱(fraility)、骨粗鬆症を基礎に転倒で誘発される骨折、精神心理的不活発さ、あるいは不健康感がソマトポーズと関連しているかどうかは?

<高齢者に対するGH補充療法>

●効果●

Rudmanら、血中IGF-I値が低下した21名の健常高齢者(61-81)0.030mg/kg体重/(GH分不全性低身長症の治療に使うGH量の約1/6)GH量を3回に分けて6ヵ月間にわたって皮下注し、プラセボ群と比較。

→ GH群では、血中IGF-I値の上昇とともに、除脂肪体重が8.8%増加、体脂肪量が14.4%減少、腰椎骨密度が1.6%増加した。

Papadakisらは、血中IGF-Iが低値の平均75歳の健常高齢男性52名に0.030mg/kg体重/週のGHを週3回に分けて6ヶ月間投与し、プラセボ群と比較したところ、除脂肪体重で4.3%の増加、体脂肪量で13.1%の減少を認めた。

GH補充療法が、筋力、最大酸素消費量、その他の身体機能の改善に必ずしも一定した効果を示さなかった。

TaafeらやYarasheskiらも、GH治療によって除脂肪体重の増加および脂肪量の減少はみられるのに筋力の増加はおこらない。

Welleらは、60歳以上の男性5名に0.030mg/kg体重/週のGHを週3回に分けて3ヶ月間投与し、プラセボ群の男性5名と比較したところ、除脂肪体重の増加(40K counting)、筋肉量(尿中クレアチニン排泄量)の増加、および、大腿筋筋力(isokinetic dynamometry)の増大を認めた。

Brillら、除脂肪体重は増加したが、筋力には有意な変化は認められなかった。

Munzerら、110名の高齢者に0.020mg/kg体重/週のGHを週3回に分けて6ヶ月間し、プラセボ群と比較。女性では、GH治療は腹部の皮下および内臓脂肪量に何の影響も及ぼさなかった。男性は、皮下脂肪量が有意に減少したが、内臓脂肪量は明らかな変化がなかった。

GH投与は骨代謝にも影響を与える。

     高齢者へのGH投与は、骨形成、および骨吸収をともに刺激し、骨代謝回転を促進する。

     GH投与6ヶ月ころは、骨吸収が骨形成を上回るために骨塩量はむしろやや減少するが、その後、増加し、一年後には、対照群と比べて、有意に増加。

     杉本ら、骨塩量の低下した高齢女性に対し、最初の4週間は0.125U(6.25μg)/Kg体重/週、その後0.25U(12.5μg)/Kg体重/週のリコンビナントヒトGH48週にわたって1年投与した。 → 投与前に比べ骨密度は僅かではあったが有意に上昇し、その効果はGh投与中止後も1年後にも持続していた。

     GHによる骨塩量増加の程度は、ビスフォスフォネートに比べると明らかに弱い。

●副作用および安全性

     GHにより塩分、および体液の貯留

     浮腫、関節痛、筋肉痛、などが多く、体重増加、手のこわばり感、手根管症候群、まれに、頭痛、耳鳴り、うっ血乳頭、血圧上昇、心房細動、女性化乳房など。

     長期的にGH治療を続けるときの安全面での問題:腫瘍の発症および進展

     疫学研究で、血中IGF-I値が正常範囲であっても、高めの人は、前立腺癌、大腸癌、乳癌になるリスクが高いことが知られている。

     基礎研究で、IGF-I系は発ガン、および、癌の進行に促進的に働く。

     癌が発症しやすい高齢者に、GHを投与することで、IGF-I系を賦活化することが、発癌を促進する、潜在的に存在していた癌の増大を招くという危険性については、明確な結論なし。

<高齢者に対するGH療法の問題点>

     体脂肪の減少と除脂肪体重の増加

     GH投与が高齢者の筋力増強に明らかな効果を示さない。

     最大酸素摂取量に明らかな効果を示さない。

    

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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P220224  男性ホルモン療法とアンチエイジング〕

男性における更年期障害に対する男性ホルモン投与の効果と有効性が検討。

<男性ホルモンの加齢による変化>

     男性ホルモン(テストステロン)は、加齢によって低下する。

     男性更年期障害の存在が示唆されている。

     androgen deficiency in aging male (ADAM)partial androgen deficiency in aging male (PADAM) → 男性ホルモン補充療法により改善する可能性も指摘。

     血中を循環するテストステロンの構成は、

総テストステロン=遊離テストステロン(1-2%)+アルブミン結合テストステロン(25-65%) + 性ホルモン結合グロブリン(sex hormone-binding globulin; SHBG)結合テストステロン(35-75%)

     生物学的活性テストステロン:SHBG結合テストステロンを除いた遊離テストステロンとアルブミン結合テストステロンになる。

     加齢により、総テストステロンが減少するだけでなく、SHBGの結合能が減少するだけでなく、SHBGの結合能が上昇し、SHBG結合テストステロンが増加する。

     このため、遊離テストステロンを含む生物学的活性テストステロンが相対的に減少するために、加齢に伴い、男性ホルモンの働きは、顕著に減少。

PADAMの診断と男性ホルモン補充療法の適応>

     男性ホルモンは、朝高く夕に低いという日内変動。

     8時から11時までに採血するのが望ましい。

     生物学的活性テストステロンの測定が肝要。

     男性ホルモン、アルブミン、SHBGの測定値から計算して、推定する方法や、遊離テストステロンで代用しているのが現状。

     自覚的所見:ADAM質問紙とAMS質問紙

<男性ホルモンの低下による影響と男性ホルモン補充療法の効果>

     男性ホルモンの低下:性機能低下、精神症状、身体症状、体脂肪分布、骨、筋力

     心、血管臓器への影響。

●精神症状

・うつ、短気、やる気の喪失、

・記名力の低下、空間認知力などの認知能の低下

・身体症状:体のほてり、発汗など

・これは、女性の更年期障害や男性前立腺癌患者におけるホルモン除去治療時に出現すのと同じである。

・精神、身体症状が男性ホルモン補充療法により改善し患者のQOLの向上の可能性がある。

●筋・骨格

     筋肉量や筋力、骨に対して影響する。

     男性における骨粗鬆症による骨折の原因としては、男性ホルモン低下は約2割と多くない。

     男性ホルモンと骨代謝と直接的関係が私的されてきている。

●脂質代謝・心血管

     PADAM患者において、体脂肪率の上昇や内臓脂肪の増加が指摘。

     心血管病変のリスクを上昇。

     中高年男性に対する内臓脂肪の減少など脂質代謝の問題、ひいては、動脈硬化予防または進行防止のためには、男性ホルモン補充療法は重要となってくる可能性がある。

●性機能

     性欲、性行動と勃起能の2つに関与している可能性が考えられる。

     性欲については、高齢の低テストステロン患者における男性ホルモン補充療法でも改善を認める報告がなされている。

     テストステロンの低下は、夜間睡眠時勃起の程度や頻度に影響を与える。

     勃起障害(erectile dysfunction; ED)はテストステロン低下だけではなく、血管病変にも大きく影響を受けている。

     低テストステロンを伴った一部の高齢ED患者には有効である可能性がある。

     中高年のEDに対する第一選択薬はクエン酸シルデナフィル(バイアグラ)である。

     男性ホルモン補充療法により、クエン酸シルデナフィルの有効率が改善したという報告がある。→ テストステロンが一酸化窒素(NO)活性に与える影響も考えられる。

<男性ホルモン補充療法の実際―副作用と禁忌―>

     経口剤:肝機能障害の頻度が高く、臨床的には使用しにくい。

     PADAM治療の中心となっているのは、注射剤(エナルモンデポー)

     血中濃度の増加、減少が投与期間中に著明に出現。

     125mg/2週間毎の投与でも、数日間生理的な男性ホルモンの値を超える可能性がある。

     日内変動が消失すること、非生理的なホルモン環境となる。

●男性ホルモン補充療法●

     副作用:

前立腺癌の増悪

排尿症状の増悪

肝機能障害

多血症

体液貯留

睡眠時無呼吸の増悪

     前立腺癌が男性ホルモンに依存性をもっていることは、男性ホルモン除去療法が有効であることからが明らかである。

     男性ホルモン補充慮法による前立腺癌発生頻度への影響は少ないと考えられる。

     増殖には関連するが発癌への関連性は低いというのが一般見解。

     絶対的禁忌症例:

前立腺が疑われる症例

排尿障害が高度な前立線肥大症症例

●高度な排尿症状がなくかつ直腸診および、血清PSA値に以上がないことが男性ホルモン補充療法の前提となる。

●多血症、体液貯留の副作用もあるので、心不全患者や脳梗塞、狭心症などの心血管障害患者には注意が必要。

●肥満者に多いとされる睡眠時無呼吸症候群の増悪にも注意。

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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【アンチエイジング・インターベンション/ホルモン療法とアンチエイジング】

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P214219  女性ホルモン療法とアンチエイジング〕

     女性の退行期疾患(成人病、生活習慣病)は、加齢(Aging)と、エストロゲンの低下(hypoestrogenism)および生活習慣のツケの集積が相まって発症、増強・増悪。

     これら3つの危険因子 → 抗加齢、エストロゲンの補充、生活習慣の是正・改善

     閉経後女性の健康管理・QOLの向上:生活習慣病の一次予防、二次予防につきる。

     一次予防:健康的な生活を送り、発病を予防する

     二次予防:検診などで早期に病気を発見し、早期に治療する。

<女性ホルモンとEBM

女性ホルモンを補充するHRT:閉経後女性の健康管理とQOLの向上。

 → 静脈血栓塞栓症、乳癌のリスクは厳然とある。

・更年期障害、骨粗鬆症、心血管系疾患、認知能、尿失禁、萎縮性膣炎にベネフィットあり。

トータルで、リスクより、ベネフィットがあるとされてきた。

     Randamized controlled trial (RCT)のなかで、

20027JAMA誌、Women’s Health Initiative (WHI) study, 20038Lancet誌、Million Women studyによって、僅かなベネフィットの再認識と決定的といえるリスクが露見し、HRTはその使用目的は、極端に狭まったという状況。

HERSによるHRTの功罪>

     HERS: Heart and Estrogen/Progesteron Replacement Study

     平均4.1年の試験。

     HRT群はプラセボ群と比較し、LDLコレステロールが11%低下し、HDLコレステロールは10%増加した。

     虚血性心疾患の二次イベントは防止できず、骨粗鬆症による骨折も防止できず、尿失禁はかえって悪化することが多く、静脈血栓塞栓症の発症は約3倍も多かった。

WHIによるHRTの功罪>

     閉経後女性15年間

     合成エストロゲンと合成プロゲステロン(プロゲスチン)を併用したHRTは、ベネフィットを上回るリスクがあるとの判断のもとに中止。

     浸潤乳癌が26%も増加したことによる。

     心筋梗塞、肺塞栓症、浸潤乳癌、脳卒中、子宮内膜癌、結腸・直腸癌、大腿骨頚部骨折、それ以外の死亡において、リスクが15%以上増加することによる。

     ベネフィット:骨粗鬆症による骨折(大腿骨頚部:34%減、椎体:34%減、全体:24%)と結腸・直腸癌(37%)のみで、子宮内膜癌は増減がなかった。

     リスクとしては、静脈血栓塞栓症(111%)、脳卒中(41%)CHD(29%)、胆道系手術(48%)

     AHA, ACOGは、CHDの有無にかかわらず、閉経後女性では、CHDの予防のためにHRTを開始したり、継続すべきでないとした。

     HRTによるQOLの変化:身体的機能や身体制限、身体の疼痛、不眠は各々有意な効果を認め、抑うつは有意な悪化をしめした。

     HRTの効能:のぼせ、ほてり、発汗の血管運動障害については周知のこと。

     痴呆はHRTにより2倍に増え、認知能にも2つのWHI/MSにより効果がなかった。

Million Women Study によるHRTの功罪>

     Million Women Studyは、HRTと乳癌との関連を検討。

     施行期間が長いほどリスクが高くなることが判明。

     エストロゲン単独より、エストロゲン・黄体ホルモン併用HRTでリスクが高くなる。

     投与方法、種類によっても、乳癌を発症するリスクに差はなかった。

     エストロゲン単剤では子宮内膜癌(10年間で1000人あたり10人の増加)、エストロゲン・黄体ホルモン併用療法では乳癌(5年間で1000人あたり5-6人の増加、10年間で15-19人の増加)の発症の増加。

     子宮内膜癌より乳癌の増加が1.5-2倍多い。

     長期間の併用に対する安全性と有益性がかならずしもない。

     本研究の注意点は、乳癌の罹患率が最も高く、全対象者の50%が過去にHRTを経験している。

     本研究の結果を本邦にすぐにはあてはめられない。

RCTによるHRTの評価>

     ベネフィット:更年期症状と萎縮性膣炎、骨粗鬆症

     ニュートラル:認知能、卵巣癌(リスクより)、子宮内膜癌(ベネフィットより)

     リスク:虚血性心疾患、脳卒中、乳癌、静脈血栓塞栓症、胆道系疾患、尿失禁、痴呆、抑うつ。

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/アンチエイジングのための環境対策】

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/アンチエイジングのための環境対策】

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P209211  住まいのアンチエイジング〕

<身近な住まいにあふれる化学物質>

住まいは、90%以上が、均質的な人工素材(合成素材、コンクリート、鉄、ガラス)からなる。

人を病気にする住まい(シックハウス症候群)

大量の工業製品:建材、接着剤、家具、設備機器など

有害物質:ホルムアルデヒド、鼻咽粘膜への刺激あり

電気製品:電磁場の負荷。

防虫剤:パラジクロロベンゼン

木材防腐剤:クロルピリホス

合成塗料に含まれる有機溶剤:トルエン、キシレン

においのきつい天然の素材:木材、自然塗料、ラテックス:天然ゴム

シックハウス症候群:身体全体の負荷

化学的:鉛、カドミウム、アルミ、水銀、フェノール、殺虫剤、殺真菌薬、食品添加剤

物理学的:電磁場

心身ストレス

生物的:カビ、花粉、塵

→ 負荷軽減は次の方法で:

住まいの調整、改修、食事の改善、洋服の見直し、ストレスの回避

<「元気に暮らせる」のが基本>

バウビオロギー(Baubiologie, 建築生物学):住環境と人間との全体的諸関係についての学問

身体(第一の皮膚)、衣服(第二の皮膚)、住まい(第三の皮膚)

快適な湿度帯:40-60%、カビ、ダニの発生を抑える。

P212213  オフィスのアンチエイジング〕

「人間感覚計測応用技術」プロジェクト

・オフィスでの、visual display terminal (VDT)作業を対象に、温熱条件、証明条件、作業時間の複合条件が、作業適合性および疲労感に与える影響について評価。

27種類の環境条件に対し、20歳代の女性16名の被験者実験を行った。

     オフィスワーカーの不満率を10%以内に抑えるために、predicted mean vote (PMV: 温冷感予測平均申告、ISO規格)を±0.2の範囲に抑え、照度を750ルクス以上にする必要がある。

     不満率を30%以内にするには、PMVは±0.5、照度500ルクス以上の範囲。

     PMV:温熱快適感を評価する指標。

温熱環境の6要素(気温、湿度、気流、放射温度、着衣量、代謝量)から求める。

PMV=0では、95%の人が快適と感じる。

-0.5 < PMV < +0.5の範囲では、90%の人が快適と感じる。

     気温以外の条件が同じとき、PMVを±0.2の範囲に抑えるには、気温のばらつきを約1℃以内に抑える必要があり、PMVを±0.5の範囲にするには気温のばらつきを約3℃以内に抑えればよいことになる。

     オフィスでの照明:机上面で均一な照度[500-750ルクスになるように設計]

     手元の局所照明と周辺照明の明るさに差をつけるほうが、脳波のラムダ反応の評価から集中度が高まる。実際には、デスク上の証明が、1000ルクスと明るく、周囲が100ルクス程度のときに最も高い集中度が得られている。

オフィスサーカディアン照明:光が生体リズムに与える影響を考慮した照明の重要性。

調光スケジューリングにより生体リズムを調整し、無理のないオフィス環境創出技術として期待される。

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/リラクセーションとアンチエイジング】

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/リラクセーションとアンチエイジング】

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P205206  ストレスの理解〕

ストレスにいかに対処し、どのようにストレス解消していくかが健康な生活を送るための必要条件といえる。

<ストレスとは(ハンス・セリエ)

生体の中に起こる生理的・心理的な歪みであり、このストレスを作るものが外から加えられたストレッサーである。

ストレッサー:

物理的なもの(暑さ、寒さ、騒音など)

              化学的なもの(大気汚染、アルコールの飲みすぎ、タバコの吸い過ぎ)

              生物学的なもの(細菌、カビ、ウィルス)

              心理社会的なもの(心理的な悩み、葛藤、人間関係など)

適度な刺激は、交感神経を賦活し、抵抗力をつけるように働き、ハンス・セリエ自身も[ストレスは、人生のスパイスである]と延べ、ポジティブな面もある。快ストレス(eustress)

不快ストレス(distress):過剰なストレス、慢性的に長く続くストレス。

              外部からの要求と個人の対処能力のバランスにより異なり、個人差が多い。

<ストレス反応の現れ方>

ストレスの影響:

・不快な心理的変化(不安、緊張、過敏、抑うつ、焦燥、混乱などの情緒的反応)

              ・引き続く身体反応(疲労、倦怠、頭痛、動機、息苦しさ、などの自律神経症状)

・それらを解消するための行動反応(せかせか行動する、タバコをすう、アルコールをのんで気分をまぎらわす)として、表れる。

→ 個人の体質、性格、ストレスの認知の仕方の差によって一定の傾向。

           心理的に表れやすい人、行動に現れやすい人、身体的に現れやすい人。

一連のストレス反応:本来環境変化に適応するためのある種の生体防御反応であるが、過剰なストレスや長期間続く慢性的なストレスで心身が疲はいしてしまうとさまざまな障害として表れる。

<ストレスとライフスタイル>

ストレスによる不快な情動を解消するために

              リラックスして情動を静める、より快感を追及する。

手軽な方法:酒を飲む、食事をする、娯楽をする、でも有用であるが、多くは一時的な効果しかなく、悪い習慣となって、ライフスタイルの偏りの原因となる。

           より健康的なストレス解消法を身につけることが生活習慣病を予防する上で重要なポイントになる。

P207209  リラクセーションの実際〕

自律訓練法:

イライラやストレスを解消して、やる気をおこし、人間関係もスムーズに楽にできる科学的なセルフコントロール法のひとつ

              ドイツの精神科医シュルツ博士

              1961年成瀬博士によって紹介。

自己暗示などによって、全身の緊張をとり、理想的な心身の状態である「頭寒足熱状態」にする方法。

<自立訓練法研修プログラム>

1)全身を暖めて、体の力を抜く。

2)一点に集中する練習をする。

3)複式呼吸法がうまくできるようになる。

4)自律訓練法第2公式までできるようになる(第6公式まであるが、第2公式までの練習で、自律訓練法で得られる効果がほとんど受けられるため。

<自律訓練法の公式>

公式0:安静感「気持ちが落ち着いている」

公式1:重感「両手両足の力が抜けて重た~い。ゆったりとしている。」

公式2:温感「両手両足が温か~い」

公式3:心臓調節「心臓が静かに打っている」

公式4:呼吸調節「呼吸が楽だ」

公式5:腹部温感「胃のあたり(太陽神経叢)が温か~い」

公式6:額部冷涼感「額が涼しい」

<自律訓練の効果>

合理的なストレス解消法で、次の効果が確認されている。

1)蓄積された疲労の回復ができる。

2)イライラがとれ、穏やかな気持ちになり、人間関係もスムーズになる。

3)自己統制法が身につき、衝動的な行動が少なくなる。

4)集中力がつき、仕事や学習の能率が上がる。

5)肩こり、不眠、体調不順などの身体的痛みや、精神的な苦痛がやわらぐ。

6)自己向上性が増し、目標達成、問題解決のアイデアが出やすくなる。

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/身体活動とアンチエイジング】

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/身体活動とアンチエイジング】

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P186188  身体活動の可能性〕

運動療法というよりは、身体活動。

通勤のために歩行、階段、家事における体の移動など、日常生活の動作をすべて含めて身体活動と理解する。

     多様性に着目した身体活動(運動)の分類■

運動                     高齢者                         コンディショニング              生活習慣病治療              競技スポーツ

強さの指標              自覚症状       自覚症状       自覚症状       心拍数

                            心拍数                         心拍数                         心拍数                         AT

                                                                                                                VO2max

頻度                     2-5/                        2-3/                        3-5/                        5-7/

持続時間              10分から       10分から       20分以上       種目による

活性酸素システム              関連少ない    制御                            制御                            時に亢進

長寿への効果              あり                            あり                            あり                            種目による

                            (転倒防止効果)                                                                                 が一般的になし

対応する英語              Physical Activity                   Leisure Activity                   Fitness, Exercise                   Competitive Sport

                                                                                                                  Physical Activity

健康づくり                                                                                                 

体力づくり                                                                                                 

<身体活動とアンチエイジング>

・身体活動のアンチエイジングへの可能性は、運動習慣が寿命を延長させるか否かを研究することで明らかになる。

     20033月米国スタンフォード大学のMyers Jらは、6213名の男性を約6年間追跡調査し、運動能力が全死亡率の強力な予測因子であることを示した。

     運動負荷試験で8メッツ以上の運動能力を有しているものでは、明らかに予後がよかった。

     8メッツの運動能力:1時間8kmペースの速歩、乗馬なのに相当する。

     体力の判定基準のひとつである運動負荷試験を施行し、その結果を寿命という健康の主な指標に結びつける点で身体活動の可能性を明らかにしている。

     デンマーク、Schnohr Pら、7023名の対象者を5年間追跡調査し、身体活動(Leisure-Time Physical Activity)4分割した最も高い活動群では、最も低い活動群に比べ、男性で約30%、女性で約35%死亡率が低いことを示した。

     米国ピッツバーグ大学Brach JSら、平均年齢74.2歳の女性229名を対象に、14年間追跡調査を行い、常に行動的な生活をしている女性とほとんど活動していない女性とを比較すると前者では、明らかに日常生活上の支障が少ない。

●身体活動の可能性は、寿命を延長させるだけでなく、クオリティーオブライフ、生活の質を高める上において重要。

<身体活動と血管障害発症抑制>

     身体活動は、死亡率の低下を介した寿命の延長だけでなく、冠動脈疾患、脳血管障害発生を抑制する。

     Maiorana Aら、血管拡張性に働く一酸化窒素(nitric oxide; NO)と身体活動との結びつきについてまとめた。

有酸素運動を中心とした身体活動はNOを増加し、血流を安静時の3-6倍に増すことが示され、動物実験では3-4週間の身体活動継続によってNO産生増加が認められた。

NO産生増加は身体活動がeNOS(血管内皮依存性NO合成酵素)を増やすことによって生ずる。

過度な運動は、体内の抗酸化物質が減少し、加齢に伴う血管硬化への身体活動の硬化も低下してしまう点。

     動脈硬化を慢性の炎症過程と考えた場合の指標である高感度CRP(high-sensitive CRP: hCRP)に関する身体活動の影響が、Ahramson JHらにより研究された。

1ヶ月のうち身体活動を行う回数が増えるほど炎症および動脈硬化の指標であるhCRP値が抑えられ3日に2日の身体活動では、約40%低下した。

身体活動が抗炎症作用によって「アンチエイジング」に寄与する可能性を示唆する。

     脳血管障害に関して

2003年、Lee CDがメタ解析をStroke誌に掲載。

症例追跡研究では、身体活動度の高い人々は、脳血管障害発症の危険性が64%低下すること、身体活動を4分割して最も活動度の高い人は低い人に比べて25%は症危険性が低下する。

     身体活動の発癌抑制効果もその可能性が十分期待でき、大腸癌、前立腺癌、乳癌などの発症抑制効果が報告されている。

     米国フレッドハッチンソンセンター:1週間に1.25-2.5時間の速歩によって乳癌の発症率が18%減少したという報告。

     アンチエイジングのための身体活動実践■

禁忌項目:

健康高齢者:なし

              糖尿病:高/低血糖、眼底出血

              高血圧:220-250以上

              高脂血症:なし

              虚血性心疾患:胸部症状、心電図変化

              骨粗鬆症:痛み、関節可動域制限

1.メディカルチェック

1)問診、身体所見、臨床検査

リスク解析、・服薬チェック

2)合併症チェック:特に整形外科的合併症チェック

3)運動処方関連:心電図―ダブル・プロダクト

(心拍×収縮期血圧)―呼気ガス、乳酸(必要に応じて)

2.運動処方

1)運動種目

1)      日常生活内身体活動:レクリエーショナル アクティビティー

2)      有酸素―レジスタンス トレーニングストレッチングの3種類が基本

息止め(禁)、骨粗鬆症では腹/背筋トレーニングも行う

2)運動強度

1)      50%VO2max(最大心拍の60%)138―年齢/2を目安としても良い

2)      RPE(rate of perceived exertion)Borgの指数

RPE=9 “楽である”:50歳以上では110/分を目安とする

3)      自転車負荷では25W/2分程度の多段階負荷を基本とする。

8メッツ(metabolic equivalents)がアンチエイジングのための身体活動の指標

3.5ml/kg/      8メッツ:8km/hrのジョギング、乗馬、溝堀り

4)      運動終了後15秒から5分にかけての心拍数は注意する。

AT:有酸素的エネルギーに無酸素的エネルギー産生が加わるポイント

          換気ガス、乳酸濃度(4mM)などから求める

3)運動時間

1)      → 予防としては10分間からスタート → 1週間(1ヶ月単位)で把握

2)      → 治療としては30/日 → 1週間(1ヶ月単位)で把握

4)運動頻度

1)      3日坊主を繰り返すー1週間3日以上

2)      運動週間開始の時点と途中、および、ゴール設定を分ける。

                                         

3.フィードバック

血糖・中性脂肪 ― 血圧 ― コレステロール・心室性期外収縮― 

1週間          1ヶ月          2-3ヶ月   

                            → 3ヶ月で運動耐用能はほぼプラトーになり、心機能改善は6ヶ月。

P189191  有酸素運動とアンチエイジング〕

●酸素呼吸をしている生物は、有機物中の水素を終局的に酸素により酸化して水をつくる。

グルコースや脂質など有機物中の水素が直接酸素によって酸化されるのではなく、多くの場合、有機物中の水素は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型(oxidized form of nicotinamide adenine dinucleotide; NAD+)、または、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の酸化型(oxidized form of nicotinamid adenine dinucleotide phosphate; NDAP+)に受け継がれ、その後、一連の酸化還元酵素による電子伝達系の作用により、最終的に酵素に伝えられて、水が形成される。

各物質の前の還元型物質がその直後の酸化型物質を還元し、この繰り返しによって分子状酸素を水にする。

ミトコンドリアの電子伝達系により、酸化的リン酸化と共役して、水の形成とともにエネルギーを獲得。

有酸素運動能は、外気から酸素を取り込みミトコンドリアにおいてエネルギー源であるアデノシン5’-三リン酸(adenosine 5’-triphosphate; ATP)を合成する大がかりなシステムである。

その酸素運動能の指標:最大酸素摂取量

最大酸素量酸素運搬機構である呼吸循環系と酸素を消費する最大の組織である骨格筋の機能を統合したものである。これらの器官や組織を調節する内分泌系や神経系も関与。

<加齢に伴うエネルギー産生機構の問題点>

・加齢に伴い、筋と身体全体の有酸素能力が減少。

・筋量の減少はその有酸素能力におおきな影響を及ぼす。

In vitro, in vivoの両面から研究が進められている。

     バイオプシー法で筋を採取し、筋の酵素の活性を測定し、運動回復期の酸化的リン酸化系の変化を観察した報告。

→ Conleyら、25歳から80歳のヒトを対象にバイオプシー法を用い、直接、細胞内のエネルギー物質であるエネルギーリン酸化合物の測定を行った。

・外側広筋を採取し、筋組織に含まれるアデノシン三リン酸濃度、総クレアチニン濃度とクレアチンリン酸などの濃度を測定した。

→ 加齢に伴うリン酸化合物の濃度の減少は観察されなかった。

・電気刺激による回復期のリン酸化合物を測定し、その酸化能力を推定した結果、高齢者群は、若いヒトに比べ、50%程度低い。

・低下の原因:ミトコンドリアの容量密度が高齢者群で統計的に有意に低い。

     エネルギー源であるクレアチンリン酸は電気刺激の時間と共に減少する。

     筋収縮を続けることによりクレアチンリン酸の減少は観察される。

     クレアチンリン酸は、刺激停止後、徐々に回復する。

→ この回復の仕方が、加齢の影響が観察される。

     クレアチンリン酸は、細胞内で、クレアチンとATPからクレアチンキナーゼによって合成。

     クレアチンリン酸合成能は、大きくATPの合成能に依存する。

<酸素摂取量と老化>

ATPを常に供給するためには、エネルギー供給系であるTCA回路の駆動を円滑に進めることが条件である。

・有酸素的なエネルギー産生能は、その酸素の取り組みに依存する。

・個体の酸素摂取能力と筋細胞でのエネルギー消費に依存する。

酸素運搬能力や筋でのエネルギー消費量は、個体によって異なり、最大酸素摂取能力を決める大きな要因となっている。

     Houmard JAら、加齢に伴い、最大酸素摂取量、および、体重あたりの最大酸素摂取量の低下が起こることを報告。

→ 加齢に伴い直線的に最大酸素摂取量が減少。

原因:加齢に伴い、動脈壁の脂質増加、結合組織増加による血管変性が大動脈、冠動脈、脳動脈、などに起こる。気道の粘膜萎縮、せん毛運動の消失、粘膜下組織の繊維性変化、また、気管支壁の粘膜、筋、腺などの萎縮が原因。

肺:肺胞面積の減少、機能肺胞の減少、肺胞血管壁の肥厚などが加齢に伴い、現れる。

胸壁のコンプライアンスが減少、肺活量および1回換気量が減少。死腔が増加し、肺胞―肺胞血管の間の拡散能も低下。運搬機能変化の結果、最大酸素消費量(VO2max)は、年齢とともに直線的に下降する。

筋組織においては、TCA回路を構成する酵素活性の低下が観察されている。

加齢とともに、最大酸素摂取量は、低下する。

<加齢と酸素活性の変化>

     ミトコンドリアは糖質や脂質を分解、効率よくATPを産生する細胞内器官である。

     ミトコンドリアが発育や老化に伴い、その形態や機能が大きく変化する。

     Conleyら、ミトンドリア容積密度が成人に比べ高齢者で有意に低い。

     ミトコンドリアそのものの酸化能力も成人に比較し50%低い。

     酸化能力の低下は、酸化酸素の活性化の低下を意味する。

     ミトコンドリアのチトクロムCやクエン酸合成酵素の活性が加齢に伴い減少。

     酵素活性の低下:老化に伴い、ミトコンドリアDNAの突然変異、ミトコンドリア蛋白質合成の低下、酸化的ストレスによる損傷などが原因。

     ミトコンドリアDNAの加齢に伴う変化:Barazzoniら、ミトコンドリアDNAコピーは骨格筋や肝臓で減少する。

     若いラットに比較して、遅筋であるヒラメ筋で著しい減少(-40%)が観察。肝臓において50%の減少。

加齢とともに、体重あたりの最大酸素摂取量は低下する。

P192194  レジスタンストレーニングとアンチエイジング〕

     レジスタンストレーニング:

筋力トレーニング、ウエイトトレーニングなどと基本的に同じであるが、日常生活の場でごく普通にダンベルをもったり、ゴムのチューブを使って身体を動かすなど、身近な、負荷材料を用いて骨格筋に負荷をかけ、筋力のみならず、筋持久力や柔軟性を高めるなど、活動力のある筋機能を獲得することを目的に行われている。

<加齢に伴う骨格筋機能の変化>

     筋力(力の大小)、瞬発力、持久力などの筋の機能は、筋線維タイプと筋量に依存

     加齢に伴う筋量の低下は、筋力に反映する。

     加齢に伴う瞬発力の低下の原因筋線維タイプII線維の減少とエネルギー代謝系の変化。

     神経細胞の変化から:サイズの大きな有髄線維の数が加齢に伴い減少し、部分的な髄鞘の欠如、絞輪間距離の短縮などが瞬発力低下の原因。

     加齢に伴う筋持久力の低下の原因:筋萎縮に伴い筋に貯蔵されているエネルギー源の減少、筋への酸素運搬能力の低下、筋での酸素利用能力の低下、神経系の機能の変化。

<加齢に伴う骨格筋細胞の変化>

・加齢に伴い骨格筋細胞内の収縮装置、エネルギー産生装置などに変化がみられる。

     収縮装置の変化:顕著なミオシン重鎖IIBの減少が観察。

→ 速筋線維の数の減少を反映。

     ギブスやベッドレストのような不活動に伴う変化:

速筋線維より遅筋線維の減少をもたらす。

     速筋線維の減少は、老化に伴う変化。

     エネルギー産生装置の変化:ミトコンドリアの量と筋細胞萎縮に伴う細胞質の減少

     有酸素運動でのATP産生や酸化的リン酸化系の酵素活性の減少をもたらす。

     筋細胞萎縮に伴う細胞質の減少は絶対的な解糖系の減少を意味する。

<高齢者のレジスタンストレーニング>

     加齢に伴い、アンドロゲンや成長ホルモン分泌が減少する。

     レジスタンストレーニングにおける筋の成長は筋組織内部で産生されるIGF-I, FGF, TGF-βなどの成長因子に依存する度合いが大きいことが明らかにされた。

     80-90歳の高齢者でもレジスタンストレーニングにより筋の肥大が観察された。

     筋の肥大に伴う筋細胞の肥大機構や増殖機構については未知なる部分が多かったが、この両機構にサテライト細胞などの幹細胞が深く関与していることが報告

→ 骨髄幹細胞や肝幹細胞の役割が示唆。

<レジスタンストレーニングと骨格筋機能>

・加齢に伴う骨格筋の変化:筋横断面積と総筋線維数の減少

     筋横断面積の減少:速筋線維の萎縮による。

     筋線維数の減少においては、速筋線維を支配する運動単位の減少が示唆されている。

     Romanら、レジスタンストレーニングによって、上腕二頭筋の筋力が増加し、速筋線維が有意に肥大、と報告。

     Fronteraら、上肢だけでなく下肢部に対するレジスタンストレーニングで、速筋線維や遅筋線維が肥大すると、報告。

     レジスタンストレーニングによる筋線維型と遺伝子発現においては議論の余地があるが、総合的にレジスタンストレーニングは、加齢に伴う骨格筋の機能低下を抑制し、改善するようである

<レジスタンス運動の生活習慣病に対する効用>

●糖尿病予防

     血中インスリンは活動時間の長さとともに低下。

     活動している筋の取り込みはインスリン感受性の増大ともとれるが、筋活動そのものが糖の取り込みを促進する機構が存在することが推測。

     AMP-activated protein kinaseによるGLUT-4の筋細胞膜上へのtranslocationによるものと報告。

     筋活動に伴う糖の取り込み:インスリン感受性の増大をもたらすことと機械的刺激による糖の取り込み機構の活性化による。

     レジスタンストレーニングによる筋肉づくりと積極的な持久的筋活動がもとめられる。

●肥満

     肥満は、運動不足、食べすぎ、熱産生障害、遺伝などの因子におり起こる。

     肥満は、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化などを引き起こすリスクファクターの一つ。

     肥満に対する運動効果:インスリン抵抗性の改善、代謝異常の改善、体脂肪の減少による体重の減少。

     肥満に対するレジスタンス運動を有効に活用すれば、筋力、筋持久力を増強し、有酸素運動と同じように体組成を改善することができる。

●高血圧

     運動不足による肥満、大量アルコール摂取に伴う血管平滑筋の収縮、高コレステロール食によるLDLコレステロールを因子とする動脈硬化などが、高血圧の成因としてあげられる。

     高血圧が長く続くと、血管障害、心疾患、脳血管障害等を引き起こす。

     運動による効果:利尿効果が高まり、心拍出量の減少、血漿粘度の低下、血管拡張に伴う血管抵抗の低下脂質代謝が亢進する。

     これらの効果は、軽度の持久的運動であり、怒責を伴うようなレジスタンス運動はやってはならない。

●高脂血症

     中性脂肪とコレステロールが異常に増加した状態。

     一次性:家族性に発生

→ 中性脂肪、コレステロールの代謝処理障害から発生することが多く、角膜周辺に白色輪、皮膚にはコレステロールなどの沈着、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、壊疽などの発生原因の一つになる。

     二次性:肥満症、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、閉塞性黄疸

     運動による効用:高比重リポ蛋白が増加

     高比重リポ蛋白:末梢細胞の余剰コレステロールを引き抜き、そのコレステロールを超低比重リポ蛋白、中間型リポ蛋白、低比重リポ蛋白へコレステロールエステル転送蛋白の働きで移す

     低比重リポ蛋白のコレステロールは肝臓に運ばれる

     動脈硬化形成には、抑制的に働く。

     中性脂肪の分解:膵リパーゼ、リポプロテインリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼによって起こる。

     骨格筋での脂質の取り込みに関与するリパーゼは、リポプロテインリパーゼであり、貯蔵中性脂肪の脂肪分解は、ホルモン感受性リパーゼによって行われる。

     運動時のホルモン感受性リパーゼ活性を刺激するメカニズム:血中カテコールアミンの増加に伴い、βアドレナリン受容体―アデニル酸シクラーゼ系が活性化され、A-kinaseを介してホルモン感受性リパーゼ活性が増加する。

     筋肉活動(機械的刺激)そのものが何らかの機構で中性脂肪分解を亢進させるものと考えられる。

P195199  ストレッチとアンチエイジング〕

●ストレッチング:筋、靭帯、腱などの組織を引き延ばして、関節の可動域を広くする目的で用いられる動作。

●ストレッチングの目的:

1)関節の可動域を広くする

2)筋、腱、靭帯などの障害を予防する

3)筋の緊張を和らげリラックスさせる

4)筋の疲労回復を促進する

高齢者の場合:筋や腱が萎縮傾向にあり、物理的に伸張する(ストレッチ)ことの重要性。

<ストレッチングと柔軟性が運動能力に及ぼす効果>

柔軟性とは:関節周りの可動範囲(range of motion: ROM)の程度を表すもの。

・柔軟性の主な制御因子は、関節を構成する骨構造と軟部組織である。

・筋肉、筋膜鞘、腱、靭帯あるいは関節嚢などの軟部組織はストレッチングで柔らかくすることが可能である。

     関節の可動域を少なくする最大の要因:筋を覆う筋膜鞘の伸展性が低いことによる。

     ストレッチングの最大のねらい:筋膜鞘の柔軟性を高めて可動域を大きくすること。

     関節の可動域が大きいこと:ダンスや体操、フィギュアスケート等のスポーツでは動きの表現系としての優れた柔軟性は欠かせない要素。

<筋の持久性に及ぼすストレッチングの効果>

・効果的疲労回復の手段:ストレッチングとマッサージが利用される。

     男子大学生6名、前腕の把握作業、運動は、最大筋力の1/3の重りを2秒に1回の店舗で持ち上げ、ほぼ90回で運動ができなくなった。その後、約8分の休息をはさみ、同じ運動を5セット行った。その各セット間の休息時にストレッチとマッサージを行った場合と、行わない場合において、比較。

     休息のみ:セットが多くなるに伴い急激に運動回数が減少し、5セットめには初めのセットの30%に疲労する傾向をしめした。

     ストレッチとマッサージをした場合:3セットまでは、ほとんど疲労がみられず、5セットめでも、80%くらいの運動回数を維持できた。

●運動を繰り返すときの休息時のストレッチングの効果をしめすもの。

<ストレッチングの種類>

●静的ストレッチ

・筋を完全にリラックスさせた状態でゆっくりと関節の可動域を広げていく方法である。

     伸張させる筋の姿勢を長く保持することにより、伸張反射を弱めながら目的とする筋をストレッチすることができる。

     筋の異常な負荷をかけることもなく、安全性の高い方法である。

●動的ストレッチ

・反動を利用して、動的に行うストレッチの方法である。

     動的に筋を伸張させるために、身体部分を動かすスピードと重量を活用する技法である。

     スピードをつけてストレッチするために伸張反射が働く。

     目的とする筋群を伸ばそうとするためのストレッチから発生する力と、同じ筋群の反射性の収縮により発生する力とが方向の相反する力の組み合わせは、伸長されようとする筋に強い衝撃を引き起こすおそれがある。

     ストレッチ速度に十分に注意しなければならない。

proprioceptive neuromuscular facilitation (PNF)

・伸張しようとする筋を等尺性収縮させ、その後、リラックスさせ、次にストレッチさせる方法である。

1)伸張させようとする筋を伸展位におく

2)その筋にゆっくりと静的収縮を行わせる(約5秒間)

3)その後、筋をリラックスさせる。

4)リラックスさせたのち、ストレッチングに入る。

5)以上の手順を35回繰り返す。

     最初の伸展位によって、目的の筋の筋紡錘が刺激され伸張反射を引き起こし、筋収縮が生じる。その伸展位からわずかなものでかつしばらく保持されるならば、筋紡錘の感受性はリセットされ、ストレッチングされている筋はリラックスする。

     静的収縮により、ゴルジ腱器官が刺激されて目的とする筋のいっそうの弛緩をもたらす。それにより、伸展の範囲がさらに増す。

・この方法は、ストレッチングに加えて、静的筋収縮が加えられるので、関節の可動域の増大に加えて、筋力増加の可能性も生じる。

     コンビネーションストレッチング

・主動筋をゆっくり収縮させると拮抗筋は相反性の抑制機構が働きリラックスする。

・長座姿勢で膝を伸ばし、足先を膝の方向に寄せる(足背屈)。同時に大腿四頭筋を最大に静的収縮させる。

<ストレッチングの実際>

正しい方法のポイント

1)リラックスして、ゆっくりと、じっと伸ばし続ける。

2)楽な、やりやすい得意なほうからはじめる。

3)一気に伸ばすのではなく、分担して、一部の筋を意識してのばすようにする。

4)いずれの部位の筋をストレッチするにせよ、まず背筋や腰を伸ばしてから行う。

5)呼吸は重要なポイントである。ややゆっくりと吐きながら行い、息を止めてはいけない。

6)目的とする筋を伸ばし続けることが大切で、そのためには、初めは弱く徐々に強くしていく。

7)筋は冷えると短縮してしまうので、軽い全身運動で身体を暖めたのちに、身体を冷やさないようにしながら行う。

8)風呂上りは、体温も上昇し、柔軟性も高められるので、ストレッチングを行うには、最適である。

P200202  アンチエイジング身体活動(運動)処方〕

<運動実施の現状>

○運動やスポーツを全く行わない人(スポーツ不実施人口)の割合:20-30歳代では20%程度。

40歳以降で増加し、70歳を超えると約50%となっている。

              → 70歳以上の高齢者の約半数は、まったく運動をしていない。

              加齢に伴う非実践者の増大をもたらす要因は、退行性疾患

[動かないこと(運動不足)]は、退行性疾患の<原因>であるが、同時に(適応)ともなっている。

運動実施状況から高齢者を区別すると、

1)やる人は、ほっておいてもやる。

2)やらない人は、努力しても容易ではない。

              → 運動や身体活動の習慣を定着させること

3)できない人は、できない。

              → 心理的バリアをとって、動くことの喜びを沸きあがらせる。

<高齢者の身体活動増進のための行動科学理論>

高齢者の活動的生活習慣獲得へと誘う行動科学理論

     対象者の選定(Targeting)

     行動変容のための媒介変数(Mediator)

     行動変容のための介入(Intervention)

     対象者の選定(Targeting)

定義区分として運動習慣ステージが利用されている。

     トランスセオレティカルモデルにおける運動習慣のステージ■

無関心期:運動習慣をもたず、今後6ヶ月以内に運動を開始する意志もない者

関心期:運動習慣をもたないが、今後6ヶ月以内に運動を開始する意志がある者

準備期:不定期だが何らかの運動を行っている者

実行期:定期的に運動を行っているが、その習慣が6ヶ月以上継続している者

維持期:定期的に運動を行っており、その習慣が6ヶ月以上継続している者

              対象者を区分(Segmentation)し、その内の特定区分を対象として選定(Targeting)したうえで、その各々の特性に合わせた適切な働きかけ(Tailoring)を行う。

     対象区分(Tageting)のための変数■

内容 評価

人口統計変数              性・年齢・職業・人種                            だれ?

地理変数              居住地・出生地                                          どこ?

身体変数              身体能力・疾病履歴                            特殊なニーズ/行動のバリアの探索

行動変数              生活パターン                                          何を行い、何を行わないか?

                            メディア利用度                                          どこから情報を得るか?

                            行動ルート                                どこで出会うか?

心理変数              思考と表現の枠組み                         何を考え、何を信じているか?

                            思想信条・態度と心構え                     学習可能性を最大限にするには?

●行動変容のための媒介変数(Mediator)

■行動変容のための媒介変数(Mediator)

変数

自己効力Self-Efficacy

              運動やアクティブな活動を行う上でのさまざまな特定阻害要因を克服する自信感。

社会的支援Social Support             

自分の行うべき行動変容に関して、アドバイスしてくれる人や理解・応援してくれる人がいるという認識。

意思決定バランスDecisional Balance

適切な行動をとることの恩恵(Pros)ならびに取らないことの負担(Cons)に関する認識のバランス

行動的スキルBehavioral Skill

行動変容を達成するための具体的実行行為(目標設定、セルフ・モニタリング、自己強化など)ならびにその認識の程度。

周辺環境Neighborhood Environment

運動や身体活動を行う上で、自己の周辺に適切な環境が整っていると感じていている程度。

・これらのMediatorを改善させるようなプログラムを施行することによって、介入の学習効果を高めることができる。

●行動変容のための介入(Intervention)

行動介入(Intervention)Targetingを踏まえて、各人のBehavioral Mediatorを改善し、最終的に望ましい生活習慣が定着するようになるようなプログラムを提供すること。

P203204  高齢者のための運動療法〕

<高齢者の健康づくりの目標>

高齢者では、身体諸機能の水準が低いことから、日常生活動作(activities of daily living; ADL)に障害が生じやすい。

     ADLの維持改善:高齢者における健康づくりの重要な目標。

     高齢者が日常生活を自立して営むために必要なADL:起居、移動、家事、身辺

それぞれの能力を客観的に評価する方法(生活体力測定法)が開発されている。

・身体活動・運動を長期(5年間)継続することにより、生活体力は維持され、ADL障害の発生や死亡が抑制されることが確認されている。

<高齢者の生活機能維持増進のための身体活動とその方法>

身体生活機能の維持増進を図るための身体活動の実施方法:

              長期基本型:多様な身体活動をできるだけ多く実施する。

                                          一日あたりの身体活動量を増やす。

短期集中型:目的に応じた最適な運動条件(種類、強度、頻度、時間)を設定して、短期間に集中して行うもの。

           専門家による処方や指導を受け、短期間に大きな効果をあげることができる。

<日常生活における長期基本型運動>

     年齢に応じた長期基本型運動■

前期高齢者(6574)における活動

     能力に応じた仕事(フルタイム、パートタイム)

     知識や経験を生かした地域活動やボランティア活動

     知的、文化的学習活動

     興味や関心を生かした趣味やクラブ活動

後期高齢者(75歳―)における活動

     興味や関心を生かした趣味活動

     家庭内役割活動

     地域での相互扶助活動(ネットワーク活動)

     起居能力を維持増進するための運動

床からの起き上がり動作(上体起こし動作):腹筋群(腹直筋、内外腹斜筋)

床や椅子からの立ち上がり動作:大腿四頭筋(脚伸展筋力)

→ 上体起こしや上半身の捻転運動による腹筋群の強化、スクワット、下腿の伸展運動、階段登行なのによる脚伸展筋群の強化運動が有効

     歩行能力を維持増進するための運動

最大歩行速度の低下

→ 歩幅の減少、歩行率の低下、下肢関節(股、膝、足)の可動性の低下、単脚支持時間の短縮、両脚支持時間の延長。

→ 下肢の瞬発力や筋力、平衡性、敏捷性といった生理的機能の低下。

     身体運動動作を維持増進するための運動

身辺動作には、衣服の着脱、整容、入浴、トイレ等。

肩関節を回したり、身体を屈めたりなどの動作。

肩関節や体幹部関節の可動性が主な制限因子。

     手腕動作能力を維持増進するための運動

衣服のボタンかけ、裁縫、調理、食事、書字等

手指と前腕の粗大運動と指先の緻密な運動によりなりたつ。

指併せ運動、指のタッピング、手腕の回転運動。

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/漢方のハーブとアンチエイジング】

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【アンチエイジング医学にもとづく生活習慣改善/漢方のハーブとアンチエイジング】

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P183185  メディカルハーブとアンチエイジング〕

ビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸を中心とした栄養サプリメントとならんで、さまざまな薬効をもつハーブサプリメントは、通常の食事から補給しにくい。

<ギンコー(銀杏)Ginkgo tree, Ginkgo biloba – 神経系の血流改善作用>

     銀杏は漢方薬として、15世紀半ばの中国に文献的記載がある。

     近年では、約20年前にドイツにおいてその成分が抽出された。

     神経系の末梢循環不全の治療薬として注目。

     記憶障害、めまい、耳鳴り、頭痛、不安症などに処方。

     間歇性跛行にも有効。

     銀杏の葉の抽出物は、in vitroで一酸化窒素を介した血管拡張作用を持つことが報告。

     1997年に報告された論文、300名のアルツハイマー患者に1日量として120mgの銀杏葉抽出物を投与し、有効な症状の改善が見られた。

     副作用は、1万人を対象に行われた研究で、約1.7%に吐気や胃腸障害。

<エキネシア(和名:ばれん菊)Purple corneflower, Echinancea purpurea – 免疫能向上作用、風邪予防>

     米国先住民が切り傷や抗炎症作用を目的にした薬草として利用。

     20世紀以降の研究で、エキネシアには風邪の予防と治療効果、ウィルス性の上気道感染症に効果がある。

     基礎研究では、エキネシアの抽出物が白血球の貪食作用を活性化すること、Tリンパ球の機能を向上させることが報告。

     顕著な副作用はない。

<マリアアザミ:Milk Thistle Silybum marianum – 肝機能改善>

     ギリシャ時代から、マリアアザミの種には、黄疸の治療効果があることが知られていた。

     近年の研究で、種に含まれるシリマリン(Silymarin)という成分に薬効があることが報告。

     活性酸素除去作用と過酸化脂質の発生予防効果、さらに5-lipooxygenaseの活性を抑制。

     DNA依存型RNAポリメラーゼを活性化し肝臓における蛋白合成を促進する作用。

     肝細胞の再生能力を促進すると考えられる。

     アルコール性肝障害やウィルス性肝炎の治療に効果的

     薬剤性肝障害にも効果的

     常用量は1日あたり200-400mg

     軟便になることがまれにある、以外に特記すべき副作用なし。

<セントジョーンズワート(和名:西洋おとぎり草)St. John’s Wort, Hypericum perforatum – 抗うつ作用>

     薬効は、抗うつ作用

     抽出物には、ノルエピネフリン、セロトニン、ドパミンの再吸収を阻害する作用がある。

     GABA受容体に結合し、ACTH分泌抑制作用を起こすことも報告。

     通常は抗うつ剤として使用。

     創傷治癒促進や抗細菌作用などの目的で使用。

     臨床研究では、セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)との二重盲検法による比較で、SJWSSRIと同様の効果があると認められる。

     SJWには肝臓の薬物代謝酵素P450を活性化することが知られている。

     ワーファリン、テオフィリン、サイクロスポリンなどの薬効が減少する可能性があるため併用時に注意。

     SJWは薬物運搬作用のあるPグリコプロテインを誘導するためジゴキシンの薬物活性が低下。

<ノコギリヤシ:Say Palmetto, Serenoa repens – 前立腺肥大治療>

     前立腺肥大症に効果あるサプリメントとして知られている。

     ノコギリヤシの実から抽出される脂肪酸とそのエステル:抗炎症作用、成長因子阻害作用、抗アンドロゲン作用があることが報告。

     この抽出物には5α-還元酵素を阻害しテストステロンからジヒドロテストステロンへの変化を抑制

     in vitroでは、α受容体を遮断する作用がある。

     臨床的にはその効果が広く認められており、欧州では、前立腺肥大に対して最初に処方される。

     米国で最近報告された研究結果では、6ヶ月間44人のBPH患者に106mgのノコギリヤシの抽出物を投与したところ、前立腺の大きさやDHT、前立腺特異的抗原(prostate specific antigen; PSA)などには大きな変化が見られなかったが、前立腺上皮退縮や臨床症状の改善が認められた。

     副作用はなし。

<ビルベリー:Bilberry, Vaccinium myrtillus – 眼科疾患>
・夜盲症、緑内障、網膜変性疾患、などの眼科領域の疾患に効果的。

     薬効は、アントシアノイド(Anthocyanoides)に由来する

     コラーゲン線維を維持することで、毛細血管からの出血を抑制すると考えられる。

     アントシアニジン(Anthocyanidin)として60-100mgの投与が推奨。

     顕著な副作用なし。

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